大方洋二の魚って不思議!

写真を通して魚類の生態や海について考える

変貌するイトヒキベラ

イトヒキベラはベラ科イトヒキベラ属で、全長約10cmになる。千葉県から九州の太平洋沿岸に分布する。琉球列島やフィリピンなどにも分布するが、温帯域のものとタイプが異なる。


通常色のイトヒキベラ(大瀬崎)
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イトヒキベラは通常それほど魅力的な魚ではない。海底や周囲の岩、海藻などに溶け込んでしまうほど地味な魚といえる。










婚姻色のオス(伊豆大島
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ところが、繁殖期になるとオスは驚くほどきれいな体色に変貌する。繁殖期は初夏から晩夏だが、その年の水温などでずれることもある。










メスの前でディスプレイするオス(伊豆大島
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オスはメスにアピールするために婚姻色になってダッシュしたり、ゆっくり泳ぎながら各ヒレを広げたりする。










青白く輝きながらダッシュするオス(柏島)                                           
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婚姻色はめまぐるしく変わる。しかし最もよく目にするのはメタリックカラーになること。青白く輝きながら勢いよく泳ぐ姿は、カメラを向けずにはいられない。









婚姻色のオスが集まっていた(柏島)                                              
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最初に柏島を訪れたとき、イトヒキベラのオスが婚姻色になって集まっているところを見た。なぜこのような状態になるのか不思議でしかたなかった。1991年7月のことだ。このような状態を見たのは、このときが最初で最後だった。