大方洋二の魚って不思議!

写真を通して魚類の生態や海について考える

シガテラ毒魚・アカマダラハタ

アカマダラハタという魚を知ったのは約15年前。某出版社が有害生物図鑑の作成に際し、送られてきた掲載予定の写真リストを見たときだった。


アカマダラハタ(GBR
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バラフエダイやバラハタなどのシガテラ毒魚の代表的なものは知っていたが、アカマダラハタは初めてだったので調べてみた。沖縄本島グレートバリアリーフGBR)で撮っていたが、名前を調べずにそのままにしていたのだ。








リーフ外縁に生息する(コモド)                                             
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アカマダラハタは、明るい赤茶色の地に暗色の複雑な模様が全体に入っている。マダラハタやヤイトハタに似ているが、本種は額の部分がやや凹んでいるので区別できる。









ソフトコーラルで休む(ラジャアンパト)                                             
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こうした特徴がインプットされたので、その後は写真を見ても、実際に海中で出会ってもすぐにわかるようになった。日本ではそう多くないが、GBRやマレーシア、インドネシアではよく見られる。以前は生息数がそう多くなかったが、天敵が少ないこと、有毒なので漁の対象にならないことなどで増えているようだ。






額の部分が凹んでいる(ラジャアンパット)
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シガテラ毒は『毒魚の自然史』(松浦啓一・長島裕二編著、北海道出版会刊)によると、付着性微細藻類がつくるとのこと。それを食べた藻食性魚類を肉食性魚類が食べる、いわゆる食物連鎖を介してさまざまな魚類に取り込まれるが、地域や個体によって無毒の場合や有毒率が異なる場合があるという。






数が増えて接近しやすくなった(コモド)
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シガテラ毒の症状は、脱力感、頭痛、下痢、嘔吐、しびれ、血圧低下、大量の発汗などだが、これもかなり個人差があるらしい。
また『魚類図鑑~南日本の沿岸魚』(益田一・荒賀忠一・吉野哲夫著、東海大学出版会刊)には、沖縄の糸満漁師はアカマダラハタの老成魚を有毒魚としているが、八重山では食していると記されている。