大方洋二の魚って不思議!

写真を通して魚類の生態や海について考える

デバスズメダイモドキ(?)

スズメダイ科のアオバスズメダイは、デバスズメダイとよく似ている。そのため昔は混同されていて、'75年発刊の『魚類図鑑 南日本の沿岸魚』(東海大学出版会)には載っていなかった。


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初めて掲載された図鑑が'84年発刊の『日本産魚類大図鑑』(東海大学出版会)なので、'80年代初めごろ日本初記録になったのだろう。この図鑑にはアオバスズメダイの別名デバスズメダイモドキが記してある。標準和名が付く前はそう呼ばれていたようだ。








アオバスズメダイの生殖管はオレンジ
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両種の違いは、アオバスズメダイのほうがデバスズメダイより体がやや大きく、胸ビレのつけ根内側が黒い(デバスズメは黒くない)。アオバスズメダイの生殖管はオレンジ色(デバスズメは白)で、婚姻色も異なる。デバスズメダイの婚姻色は数多くのバリエーションがあるが、アオバスズメダイはワンパターン。







両種の婚姻色の違い
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まだ混同されているころ、アオバスズメダイの産卵シーンを撮影した。生殖管がオレンジで、婚姻色も違っていたのでヘンだと思っていた。アオバスズメダイの婚姻色は体色が黒味がかり、その中に白っぽい複雑な模様が現れる。









デバスズメダイの集団産卵                                                                

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両種とも基本的にはペア産卵だが、デバスズメダイは集団で行うこともある。












産卵中のアオバスズメダイ                                                               

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デバスズメダイが死サンゴなどのガレキに産卵するのに対し、アオバスズメダイは岩肌や死サンゴに繁茂する藻に産卵するケースが多い。