大方洋二の魚って不思議!

写真を通して魚類の生態や海について考える

クラカオスズメダイについて

クラカオスズメダイの「クラカオ」が以前から気になっていた。どういう意味なのだろうか。学名はAmblyglyphidoden curacaoで、 種小名をそのまま和名にしていた。



シャコガイの殻に産卵中(コモド)

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curacao」はカリブ海のある島の地名らしい。学名はローマ字読みだが、現地の発音はキュラソーという。新種記載は231年前の1787年。江戸時代に海外ではアカデミックなことをしていたのだ。「curacao」で発見されたという可能性は低い。カリブ海には分布しないからだ。ではなぜ? いまだに謎だ。

それはともかく、クラカオスズメダイは繁殖力が強い。





ヤギ類の枯れ枝に産み付けている(奄美
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理由は産卵する場所を選り好みしないからだ。硬いものなら何でもよく、これまで岩、死サンゴ、貝殻、ヤギ類の枯れ枝などに産み付けているのを観察した。










キクメイシに産んだ卵を世話する(奄美
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クラカオスズメダイは内湾の枝状サンゴが群生するところに群れている。沖縄や奄美での繁殖期は初夏から晩夏。産みたての卵は白っぽい半透明で、発生が進むと灰色になり、さらに進むと黒くなって目が光って見えるようになる。









ツノカタトサカの根元で(石垣)                                              

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岩の上に付着しているツノカタトサカの根元に産んでいたこともあった。小高いところなので、なぜわざわざこんなところに産んだのか不思議に思った。










岩に産み付けた卵。目が見えている(奄美
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繁殖力が強いと言ったが、ナミスズメダイほどではない。ナミスズメは内湾はもちろん、それ以外の環境にも進出している。
クラカオスズメダイの懸命な卵保護を見ていると、ナミスズメダイのようになる日は近いかもしれない。