大方洋二の魚って不思議!

写真を通して魚類の生態や海について考える

日記

理想的なバディ

ダイビングするうえでの基本的なルールは、2人1組で潜ること。安全を期すためで、バディシステムという。しかし実際には、バディと離れてしまうことが多く、場合によっては一人のときもある。 トゲチョウチョウウオ 魚がペアで行動しているのを見ると、理想…

マンタの個体識別

1月10日発売の『DIVER』2月号の巻頭特集は、ニューカレドニア。その中で、ニューカレドニアで見られるマンタの「マンタ名鑑」というのが載っていた。 『DIVER』の「マンタ名鑑」 マンタは腹側の模様が個体によって異なるため、識別可能。「マンタ名鑑」には…

豪華絢爛

年明けにふさわしい、艶やかな魚を集めてみた。いずれも日本に分布する。 ニシキフウライウオ(富戸) ニシキフウライウオは色彩変異が多く、黒っぽい地味なものもいる。しかしこの個体は、お祝いムードたっぷり。 ニシキヤッコ(奄美) 「錦」という言葉自…

お正月・海の思い出

昔はサラリーマンをしていた。気兼ねなく長期に休める年末・年始は、よくダイビングに行っていたものだ。 座間味港(1982年元旦) 70年代後半からしばらくは座間味が多かった。暖かく過ごせることが第一の理由だが、風向きやその年で寒いときも当然ある。 し…

縁起のいい海の生きもの

お正月は地域によって期間が異なるらしい。関東は松の内(7日)までをお正月としている。まだ松の内なので、縁起のいい海の生きものを集めてみた。 マダイ おめでたい魚といえば、マダイだろう。ピンク色で形もいい。尾頭付きの魚の代表。 イセエビ 海老も縁…

国立科学博物館・NEWS展示

あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。 猪突猛進(?)のケラマハナダイ 今年の年賀状に使用した写真で、実際のポストカードには右下に住所を入れている。 被写体はケラマハナダイのオスの群れで、撮影地は奄美。先頭の上の個体だ…

自分なりの十大ニュース(下半期)

9月、インドネシア・コモド諸島ダイブクルーズに乗船した。コモドへはこれで10回目となる。続けて2クルーズすることも多かったので、通算では18クルーズ目になった。 丸まったイソギンチャクとチョウチョウウオ 相変わらず生物・魚類相は豊かで、何度潜って…

自分なりの十大ニュース(上半期)

2018年も残りわずか。今年もいろいろあったので、海や写真に関する自分なりの出来事を、順に振り返ってみたい。 ヤノ2月会、業界関係者の集合写真 毎年2月開催の「ヤノ2月会」。西表島でダイビングサービスを営む矢野維幾氏が東京で行うパーティーで、常連客…

アジ科の幼魚は淋しがり

多くの魚は、卵からふ化すると浮遊生活に入る。海中を漂いながら流れ藻や流木などの漂流物を見つけ、付くようになる。何かに付いたほうが安心なのだろう。 モヨウフグとシマアジの幼魚 そうしてエサが豊富なサンゴ礁や岩礁域にたどり着くと、漂流物から離れ…

大変身するスズメダイモドキ

スズメダイ類は幼魚と成魚の体色・斑紋が異なるものが多い。幼魚のときは輝くばかりなのに、成魚では地味になってしまうケースがほとんど。スズメダイモドキもそうだ。 地味なスズメダイモドキの成魚 成魚の大きさは約17cmで全体が焦げ茶色。分布は琉球列島…

青いスズメダイ類について

青魚といえばアジ、イワシ、サンマ、サバなどのこと。しかし厳密にいえば青くはない。青い魚は何といってもソラスズメダイやルリスズメダイだ。 ソラスズメダイ(座間味) そこで青いスズメダイ類を取り上げる。ソラスズメダイは全長8cmで、千葉県以南の西部…

カワハギと間違えて

今月11日、三重県のスーパーで有毒魚のソウシハギを販売し、保健所に申し出たことでニュースになった。スーパーの話では、カワハギとしてソウシハギを3匹仕入れて2匹を販売したという。 ソウシハギの切り身(NHK電子版より) 三重県と保健所が調査したところ…

昔の名前で出てみます

スズメダイ類は、体色・斑紋が幼魚と成魚で異なるものがよくいる。そのことから昔は別種とされていたものが少なくない。 フタオビスズメダイ 昔は食用以外の魚は研究対象ではなかったし、水槽での飼育技術も優れていなかったため、成長による変化が不明だっ…

ニセゴイシウツボの幼魚

ウツボの仲間は日本に約60種分布している。そのうちダイビングで出会えるのは15種くらいだろう。 ニセゴイシウツボ(奄美) 全長が最も長いのはオナガウツボで、3mになるという。しかし、実際に出会えるウツボ類で大きいのはドクウツボとニセゴイシウツボで…

区別が難しいタツノオトシゴの仲間

タツノオトシゴの仲間(タツノオトシゴ亜科)は尾ビレがなく、尾部で海藻やヤギ類に巻き付くことができるのが特徴。日本には未記載種を含めると10数種分布しているが、見分け方が難しい。 ハチジョウタツ(05年、沖縄・真栄田岬) ところで、8月26日のこのブ…

還暦の東京タワー

東京タワーは、今年12月に開業60周年を迎えた。 東京タワー(芝公園より、18年12月) 東京オリンピックに合わせて作られたものと勝手に思っていたが、違っていた。もっと前で、 ぼくが高校生のときだった。 現在の東京タワーの昼と夜 今は60周年を記念しての…

タヒチの想い出

成田とパペーテ(タヒチ)を就航する「エア タヒチ ヌイ」は、今年の11月で20周年を迎えたという。タヒチは「はたち」のころからの憧れの島。いつか行ってみたいと思っていた。最初にタヒチを訪れたのは1997年1月のこと。21年前になる。 ランギロアに向かう…

ギンガハゼの話

ヘラヤガラ、マルクチヒメジ、ギチベラ、ギンガハゼなどに共通するものは何だか知っているだろうか? 答えは、黄色いタイプ、すなわち黄化個体(黄変個体ともいう)がいること。 ギンガハゼ(西表) ギンガハゼの通常の体色は薄茶色で、こげ茶の帯が数本ある…

ヨツメトラギスの目玉模様

日本に30種分布しているトラギス科。その中にヨツメトラギスがいる。全長約15cmで、南西諸島以南の西部太平洋、インド洋に分布し、ガレ場や岩場に生息している。 ヨツメトラギスのメス なぜこの名があるのかというと、目の後方に目玉模様(眼状班ともいう)…

印象深いフィジーの魚たち

今年7月、成田~フィジーの直行便が復活した。9年ぶりだそうだ。最初にフィジーへ行ったのは19年前の99年。「ピースボート」で寄港した際にスノーケリングをした。とてもおもしろかたので、翌年改めて訪れた。 英名バイカラーラビットフィッシュ 当時は多く…

コガネスズメダイ物語

コガネスズメダイは伊豆半島周辺で普通に見られることから、ずいぶん前から撮影していた。新種記載されたのは1830年で、インドネシア・アンボンから得られた標本を基に、Heliases analisという学名が付けられた。 コガネスズメダイ(伊豆大島、03年) その後…

秋の奄美ロケ(最終回)

「夏ときどき秋」の奄美から東京に帰ってきた。めっきり寒くなっているので、Tシャツ、短パンで過ごした日々が懐かしい。 スタジオーネのボート 今回のロケでお世話になったボートは2隻。ロケ中何日間か先約があったため、その都度乗り換えた。 民宿ふじのボ…

秋の奄美ロケ(6)

ロケ20日目にして、別のポイントに潜ることができた。今年新種記載された、ニゲミズチンアナゴの撮影をするためだ。新種記載した鹿児島大学の藤井先生が、たまたまサンゴの調査で来島していたので、案内していただいた。 生息地を確認する藤井先生 生息場所…

秋の奄美ロケ(5)

宿から港へ行く間、ススキが見えるところがあり、奄美にも秋の気配が感じられる。しかし、ここ数日は最高気温が26℃くらいになり、「秋ときどき夏」というところだろうか。 ロケを続けている湾 同じポイントにもう40本以上潜り続けている。ボートの上で休憩し…

秋の奄美ロケ(4)

ロケを始めて半月が経ち、余裕ができたので個人的な写真も撮れるようになった。そこで、枝状サンゴに生息するニセクラカオスズメダイを観察してみた。 ニセクラカオスズメダイ 成魚は数尾いるものの、警戒心が強い。幼魚はたくさんいるようで、クラカオスズ…

秋の奄美ロケ(3)

11月に入って曇る日が多くなった。時折小雨が降ることも。北風で日差しがないときはやはり寒い。先月28日までは古仁屋の民宿に宿泊していたが、29日からは嘉鉄のペンションに移った。 宿の前の嘉鉄海岸(11月2日、午前7時) 水温もロケ当初より1℃下がって、2…

秋の奄美ロケ(2)

NHK「ダーウィンが来た!」のロケに入る前、あでやっこ水中写真倶楽部のメンバーと3本潜った。 タキゲンロクダイ 1本目は初めてのポイント灯台下。砂地の斜面に岩やサンゴの転石があり、イソバナも多い。チョウチョウウオの仲間のタキゲンロクダイも見られた…

秋の奄美ロケ(1)

奄美ロケを始めて10日が過ぎた。連日快晴で、こんなことはとても珍しい。 古仁屋港の近くの灯台 ロケをしている場所は大島海峡の奧。奄美大島と加計呂麻島に挟めれた大島海峡は常に穏やか。 瀬戸内町の景勝地・ホノホシ海岸 昼食は、状況によって弁当だった…

「ダーウィンが来た!」奄美ロケ

今年もNHK「ダーウィンが来た!」の番組制作のお手伝いをすることに。10月21日から約3週間ロケすることになっている。 ダーウィンが来た!のステッカー 何を撮影するかは言えないので、スズキ目の「X」としておこう。「X」は誰でも知っている魚だが、生態は…

撮影しやすい魚

多くの魚は人間が近づくと逃げる。逃げないまでも、向きを変えて逃げやすい体勢をとる。多かれ少なかれ、警戒心があるのだ。 サンゴ礁を行くヤシャベラ それとは逆に、警戒心がない魚もいる。ヤシャベラがそうだ。 人工漁礁を通過するヤシャベラ ヤシャベラ…