大方洋二の魚って不思議!

写真を通して魚類の生態や海について考える

日記

サンゴ VS イソギンチャク

海底に住む底生生物は、定着場所を巡って常に競争している。特に褐虫藻と共生しているサンゴやイソギンチャクは、太陽光が必要である。他の生物に光を遮られると、死を宣告されたも同然。 ミドリイシの仲間とセンジュイソギンチャク それを防ぐため、サンゴ…

「令和」最初の写真展

あと2週間で年号が改まる。狙ったわけではないのだが、令和元年5月1日より6月末の2ヶ月間写真展を開くことになった。 菜酒家FU-KU入口 会場は溝の口の「菜酒家FU-KU」で、沖縄料理の居酒屋さん。オーナーご夫妻がダイバーなので、店内にて水中写真展を行って…

海の中のピンク(魚編)

ピンク色をした魚もわりあい多い。ただ、成長の段階でピンクになる場合で、生涯を通してピンクというのはあまりいない。 ハナゴイはずっとこの色 まぁ「ピンク」をどうとるかで異なる。例えばマダイなどもピンクの範疇に入ると思うが、厳密にするとちょっと…

海の中のピンク(底生生物編)

海の中の生物の多くは色鮮やか。そのことを知ったのはかなり昔で、カラーフィルムが普及してきた60年代中ごろ。フラッシュ(今でいうストロボ)をたいて撮影してわかった。 淡いピンクが美しいウミトサカの仲間 極彩色の中にピンクがあるのに驚いた。ピンク…

8Kで取材した奄美の番組

昨年5月、8Kで奄美の海を取材した。放送予定は今年の夏だったのだが、先月末に担当ディレクターからメールが来て、急遽今夜初回の放送とのこと。どうやら8Kのソフトが足りないので、急いで編集したらしい。 8Kで取材した奄美の番組 ディレクターは、ぼくが8K…

MDフェアと水中映像祭

毎年4月の第一金、土、日は池袋サンシャインシティでマリンダイビングフェア(MDフェア)が開催される。今年も行われ、金曜日に行ってみた。 マリンダイビングフェア受付 こういう機会でなければお会いできない方もいるため、実にありがたいイベントだ。いろ…

桜めぐり

桜の見ごろを迎えている。今年は満開後に天気が荒れなかったうえ、気温が低かったこともあり、見ごろが長く続いている。 芝公園の桜(3月31日) とにかく日本人は桜が大好き。開花前からニュースで流れ、ソワソワし始める。数年前から花見の名所を巡るバスツ…

アケボノチョウについて

チョウチョウウオ科のアケボノチョウチョウウオは、千葉県以南の太平洋、インド洋、紅海に分布する。全長18cmに達するが、成魚が普通に見られるのはサンゴ礁域。 アケボノチョウチョウウオ(コモド) 単独ないしはペアでいるが、時には10尾前後のグループで…

一人歩きする写真

写真を出版社や広告代理店に貸す場合、どのような媒体に使用されるかが事前にわかる。ところが、知らないまま「一人歩き」しているものもある。ということで、今回は「一人歩き」する写真の話。 複写されたオジサンの写真 以前、無断で魚類図鑑からオジサン…

第23回 写真展「海で逢いたい」

桜の開花とともに毎年開催している写真展「海で逢いたい」が今日から始まった。それに先立ち、午前中に搬入・設営を有志で行った。 配置を決めているところ 10時に会場へ行ったらもう20名くらい来ていて、搬入を開始していた。プリントを行った「写真弘社」…

色彩変異が多いフグ

フグ科モヨウフグ属のコクテンフグは、全長約30cmになり、本州中部以南の西部太平洋、インド洋に分布する。 やや白っぽいタイプのコクテンフグ(奄美) 顔が犬に似ていて表情が可愛いこと、警戒心もあまりないことなどもあり、出会うと必ずレンズを向けるこ…

仮の名前で呼ばれてます

「カニハゼ」と呼ばれているハゼがいる。全長5~6cmで、内湾の砂地や転石帯に生息し、ペアでいることが多い。ハゼなので第1と第2背ビレがあり、体のわりには大きい。それぞれの背ビレに目玉模様があるのが特徴。 カニハゼと呼ばれるハゼ(コモド) 泳ぎ方は…

写真展「海で逢いたい」の準備着々

恒例の水中写真グループ展「海で逢いたい」神戸展が、今月14日から開催される。それに先立って準備を進めたが、最初は案内状の制作。11月までに出品された候補の中から選んだ。 神戸展向けの案内状 条件は文字を入れやすいこと、過去に選ばれていない人とい…

長高水族館部

10日の日本テレビ「所さんの目がテン」は、長高水族館部の特集だった。昭和61年に老朽化により閉館した愛媛県長浜町立長浜水族館。地元の人々に親しまれた水族館を復活させたのが長浜高校で、なんと水族館部をつくった。 「所さんの目がテン」HP 水族館部に…

タツウミヤッコについて

ヨウジウオ科ウミヤッコ属のタツウミヤッコは、全長約16cmで、伊豆半島、琉球列島以南の西部太平洋、紅海に分布している。 保護色をしたタツウミヤッコ(奄美) 新種記載は1915年と古い。日本では90年代初めごろに宮古島、伊豆海洋公園、座間味島などで発見…

地球ドラマチック

3月2日(土)19時よりNHKEテレで「地球ドラマチック」が放送された。「サンゴ礁の海 ラグーン」がタイトルで、サブタイトルが「~小さな魚マニーニの冒険~」。 エンドタイトル 舞台はポリネシアのタヒチで、シマハギを現地語でマニー二というらしい。シマハ…

CP+

2月28日から3月3日まで開催のCP+(シーピープラス)に行ってきた。会場はパシフィコ横浜。平日にもかかわらず、大勢の人が来ていた。 カメラと用品のカタログ この催しは、昔のカメラショーと写真用品展示会が一緒になったもの。さらにデジタル時代になった…

ヘコアユの居場所

ヘコアユ科のヘコアユは、相模湾以南の西部太平洋、インド洋に分布している。生息場所は内湾や内海で、枝状サンゴのそばに群れでいる。全長約15cmになる。 枝状サンゴにいることがと多い(座間味) 常に口を下にしているため、エサは底生生物かと思っていた…

撮りにくい魚・シマヤッコ

キンチャクダイ科のシマヤッコは全長約10cmで、八重山諸島以南の中西部太平洋に分布している。 シマヤッコ(ラジャアンパット) 生息場所はドロップオフの壁で、岩の隙間などに隠れていることが多い。警戒心がとて強く、撮影には苦労させられる魚だ。 逆さに…

奄美の魚類図鑑

奄美群島の魚類図鑑が先週発刊された。この図鑑にはかかわっていないが、著者のひとりでもある本村先生から発刊のお知らせをいただいた。 新しく発刊された魚類図鑑 『奄美群島の魚類図鑑』(編著者・本村浩之、萩原清司、瀬能宏、中江雅典 / 発行・南日本新…

モンツキベラの生態

ベラ科タキベラ属のモンツキベラは全長約20cmで、相模湾以南の西部太平洋、インド洋に分布する。本州に生息するのは主に幼魚で、成魚はサンゴ礁域で多く見られる。 モンツキベラ 警戒心はあまりなくて、わりあい近くに来るので撮影しやすい。 エサを探すモン…

謎多きアカメハゼ

ハゼ科のアカメハゼは全長約2cm。目が赤いのでこの名が付いているが、実際には虹彩がピンク色。英名でもレッドアイゴビー、パープルドゴビーあるいはホバリングゴビーなどという。 目が特徴のアカメハゼ(奄美) 南西諸島以南の西部太平洋、インド洋に広く分…

タコの本当の泳ぎ方

最新のナショナルジオグラフィックメールマガジンに、タコの画像が載っていた。タイトルは「魅惑的な泳ぎ」~もはや神々しいレベル?~とのキャプションも書かれている。この画像を見て、人間がタコに手を加えたとすぐにわかった。 ナショジオのメルマガの画…

オジロバラハタの生態

前々回バラハタを取り上げたので、オジロバラハタをはずすわけにはいかない。というのも昔は同種だったからだ。 オジロバラハタ(座間味) オジロバラハタの新種記載は1952年。しかし日本では70年代後半までバラハタのカラーバリエーションとされていた。オ…

冬のダイビング関連イベント

毎年冬に開催されるダイビング関連イベントが二つある。一つは「ダイビングフェスティバル」。昨年までは「DIVE BIZ SHOW」という名で、業界関係者対象の展示会だったが、今年から一般ダイバーも入場できる以前のスタイルに戻った。 ダイビングフェスティバ…

バラハタの生態

バラハタの体色は鮮やかな紅色で、ピンクの丸い斑点が全身に入っている。和名の由来は、いうまでもなく薔薇色。 バラハタの成魚(紅海) 全長約50cmで、尾ビレや背・尻ビレの先端が伸びて尖っている。また、それらの後縁が黄色いのが最大の特徴。南日本、イ…

カゴカキダイについて

60年代中ごろから約20年間、真鶴でよく潜っていた。見られる魚は地味なものが多く、シラコダイやカゴカキダイが唯一カラフルな魚だった印象がある。 カゴカキダイとダイバー(真鶴、71年) 特にカゴカキダイは群れでいることが多かったため、よき被写体だっ…

幼魚は白黒

幼魚期は天敵が多い。そのため体色を派手にしたり、目玉模様で狙われないよう工夫している。前者は有毒を連想させるようで、後者は本物の目を守ったり、脅す役目もある。 ホホスジタルミの幼魚と成魚 派手な体色とは反対に、白黒の幼魚も少なくない。色合い…

ミナミギンポの生態

奄美や沖縄でよく見られるギンポの仲間は、ヒトスジギンポやテンクロスジギンポだ。どちらもイソギンポ科だが、行動パターンが異なる。前者は海底を這うタイプで、後者が遊泳するタイプ。 ミナミギンポ ミナミギンポも遊泳タイプで、全長約12cmになる。東京…

理想的なバディ

ダイビングするうえでの基本的なルールは、2人1組で潜ること。安全を期すためで、バディシステムという。しかし実際には、バディと離れてしまうことが多く、場合によっては一人のときもある。 トゲチョウチョウウオ 魚がペアで行動しているのを見ると、理想…