大方洋二の魚って不思議!

写真を通して魚類の生態や海について考える

2015-01-01から1年間の記事一覧

25年ぶりの西表島(最終回)

今回西表に誘ってくれたハウジングメーカーのKさんは、テンジクダイ科が大好き。当然分類についても詳しい。ホソスジナミダテンジクダイについていろいろ語っているが、こっちはチンプンカンプン。 テンジクダイに囲まれご満悦のKさん 最終日に潜ったポイン…

25年ぶりの西表島(6)

矢野氏といえばハゼだ。ハゼの図鑑を出しているくらいなので、チョー詳しい。ハゼが生息する砂泥底に何度か入った。 トウアカクマノミ そこにはトウアカクマノミもいた。ほとんどの人はマクロオンリーなので、スルーしていた。 オイランハゼ 砂泥底でよく見…

25年ぶりの西表島(5)

矢野氏のブリーフィングは、実に適切。水深、環境、生物がどんな状態でいるかなど丁寧に説明。ほぼそのとおりに観察できる。さらにカメラポジションまで教示してくれるので、迷わずに済む。 水深30mに群がるスミレナガハナダイのオス スミレナガハナダイのオ…

25年ぶりの西表島(4)

21日西表から帰る際にゆうパックで送ったダイビング器材が、23日午後1時に着いた。驚異的な速さだ。大抵3~4日かかるのに、最も遠い西表にもかかわらず、中1日で着くとは…。 スズメダイモドキ それはともかく、今回幼魚もたくさんいた。サンゴの隙間やガレ場…

25年ぶりの西表島(3)

先島諸島にはアカネハナゴイが多い。今回ダイビングしたポイントでは、キンギョハナダイよりもはるかにたくさん見られた。 サンゴに群れるアカネハナゴイ 沖縄本島や慶良間ではほとんど見られないのに、わりあい近い渡名喜島や久米島にはたくさん生息してい…

25年ぶりの西表島(2)

当然ながら25年前とはずいぶん変わっていた。建物が増えていることは想像できたが、船が着く港まで変更されていた。以前は船浦港だったが、上原港になっていたのだ。 穏やかな朝の上原港 台風11号の影響もなく、天候は良好。 ダイビングボートと買い物かご …

25年ぶりの西表島(1)

今週から西表島に行くことになった。例によってハウジングメーカーのK社長から誘われたのだ。今回はKさんの友人2名も一緒なので、海の日を挟むこの日程になった。 断崖が多い西表島。'86年 それはともかく、西表島は本当に久しぶりだ。これまで3回行っている…

別府旅行

最近は「うどん県」や「おんせん県」などとその土地の特長を前面に押し出してのPRが盛んになっている。ちなみに前者は香川県で、後者が大分県。 八幡朝見神社ととり天定食 また、JRのキャンペーンで「しばらく大分にいます」というキャッチコピーがあり、乗…

海響館の特別企画展

しものせき水族館・海響館に於いて、特別企画展「奄美の海探検記~ミステリーサークルの謎~」が7月4日より始まった。 海響館・特別企画展を知らせるHP 海響館では、3年前のNHK「ダーウィンが来た!」ロケのときから何度も現地を訪れて調査を行ってきた。 特…

初夏の柏島(最終回)

多くの魚が繁殖期の最中だったため、卵保護をしている場面にたくさん遭遇できた。特によく見られたのはスズメダイ科。 卵を守るソラスズメダイのオス ソラスズメダイはガレキの下に穴を掘り、中の天井に産卵するため、卵は見えない。だがこの個体は、見える…

初夏の柏島(5)

転石帯の斜面を移動中、チョウチョウウオが疾走して来た。フウライチョウチョウウオかと思ったが、3尾のテングチョウチョウウオだったので、慌てて撮影した。 疾走するテングチョウチョウウオ テングチョウチョウウオは日本では珍しい。若魚や幼魚は伊豆半島…

初夏の柏島(4)

24日午後から、荒俣宏、さとう俊両氏が加わった。荒俣氏には何度かお会いしているが、一緒にダイビングするのは初めて。お二人は元々磯採集の仲間で『磯あそび』を共著で出版している。また、弟の荒俣幸男氏と3名で『磯採集ガイドブック』も出されている。 …

初夏の柏島(3)

現在柏島はボートダイビングが主流だが、昔はダイビングサービスがない状態だったため、ビーチエントリーばかりだった。20数年前のことだが… 昔よく出入りした砂浜 港に隣接する小さな砂浜からもよく出入りした。柏島を訪れるダイバーが急増した'90年代後半…

初夏の柏島(2)

柏島は海流の関係なのか、珍しい生きものが多い。それに加え、生物に詳しい各ダイビングサービスのガイド陣が切磋琢磨しているお陰で、常にレアな生物を見たり撮影できる。 サンゴ域を群れで移動するカゴカキダイ しかしそれがどんどんエスカレートし、普通…

初夏の柏島(1)

柏島で潜ってきた。2か月ぶりになる。水温は4月より約4℃上がっていて、いろいろな魚が繁殖に勤しんでいた。 柏島全景('09年8月撮影) 今回ダイビングできる日は3日間で、計8本。梅雨の最中なので天気はさほど期待していなかったが、前半はまぁまぁの天気。 …

ライブラリーからの返却ポジ

契約しているフィルムライブラリーに預けていたポジフィルムが戻ってきた。現在はどこのフィルムライブラリーもオンラインで閲覧できるシステムのため、新たに預けるのは原則的にはデータ(デジタル画像)で、すでに預けているポジフィルムは遂次データ化し…

トンガリサカタザメ

だいぶ前のことだが、今の時季になると奄美大島南部に大物が出現していた。それもピンポイントで。全長約3mもあるトンガリサカタザメだ。 3mほどのトンガリサカタザメ 大抵砂地にある根のそばに着底していて、一度だけ2尾いたこともあった。ただし警戒心強…

クマドリの模様

モンガラカワハギ科のクマドリはやや地味なせいか、注目されることが少ない。注意深く観察すると、おもしろいところがいっぱいあるのに…。 沖縄のクマドリ まず、地域変異。尾柄部(尾ビレのつけ根付近)の黒い斑紋は、太平洋のものとインド洋のものでは異な…

「小学館の図鑑NEO 新版 魚」

おととい、標記の図鑑が送られてきた。こういう図鑑には、フィルムライブラリーに預けている写真が使われることは多々あるものの、よほどでないと送ってこない。来るのは直接写真を貸した場合だ。 図鑑の表紙と裏表紙 開いてみてわかった。昨年秋に担当者か…

ハマクマノミの不思議(最終回)

日本に分布する6種のクマノミ類の繁殖期は4月~9月。ただしクマノミは低水温に強いため、沖縄・奄美などでは年間を通して産卵する。 ハマクマノミのペア どのクマノミ類も繁殖期であれば卵を世話している姿が見られるが、なぜかハマクマノミはなかなかそうい…

ハマクマノミの不思議(その3)

ハマクマノミが宿主とするタマイタダキイソギンチャクには、他のクマノミ類は相性が合わないために住むことはできない。 ハマクマノミのペアと若魚。わりあい少ない したがって、見られるのはハマクマノミのペア、ペアと若魚の計3尾、単独という順で、4尾以…

ハマクマノミの不思議(その2)

ハマクマノミは幼魚期に白帯が2本あるいは3本ある。成長につれて白帯は後ろから消え、最終的に顔のところだけが残る。 全長約3cmの幼魚 幼魚は、小さなタマイタダキイソギンチャクに単独でいることがほとんど。顔以外の白帯が消えるタイミングは、一定の大き…

ハマクマノミの不思議(その1)

日本に分布するクマノミ類は6種。それに対し、宿主(しゅくしゅ)となるイソギンチャクは約13種。クマノミ類とイソギンチャク類の組み合わせには相性がある。 タマイタダキイソギンチャクとハマクマノミ 6種の中でクマノミが最も適応性があり、10種くらいの…

しものせき水族館・海響館

西日本フク研究会を終えた翌日は、下関市立しものせき水族館・海響館に行くことに決めていた。これまで二度入館したことがあるが、海響館のスタッフと知り合う前。「ダーウィンが来た!」のロケやアマミホシゾラフグ採集の際にお世話になった。 海響館入口(…

西日本フク研究会

5月30日(土)下関唐戸魚市場(株)活魚センターに於いて「第25回 西日本フク研究会」が開催された。研究会は学者や研究者ばかりではなく、フグを扱う業者も加わっている。 研究会案内書、開催要項、講演要旨 こうしたちょっと不思議なメンバー構成には、下…

フグフィーバーつづく

22日に「世界の新種トップ10」の報道があってから、いろいろなメディアから問い合わせがあた。民放からもいくつかお話をいただいたが、時間が間に合わなかったり、合意が得られなかったりして全部見送られた。 産経新聞茨城版 そんな中、23日産経新聞茨城版…

ミステリーサークル記念日

今月22日(金)に突然報道された「世界の新種トップ10」。公表は23日と聞いていたので、数多くの問い合わせに対応するのが大変だった。 産経新聞デジタル版より 驚いたのは、新聞各紙がかなり大きく扱ってくれたことだ。3年前に放送されたNHK「ダーウィンが…

改名した魚たち(2)

コショウダイの仲間は成長の段階で体色・斑紋が変わるものが多いため、混同されていた。'90年代初めごろだったと思うが、再検討された。 ムスジコショウダイ その結果、それまでシマコショウダイと呼ばれていた種は、ムスジコショウダイになった。 ヒレグロ…

世界の10新種・2015

今朝、ネットのスタート画面を開いたら、トップニュースにフグの写真が載っていてちょっとビックリした。アマミホシゾラフグが産卵している場面なので、自分の写真だとすぐわかった。 ネットのスタート画面 実は、世界の新種を統括している国際生物種探査研…

改名した魚たち(1)

魚の名前が変わることはよくある。名前とは標準和名のことで、変わる理由は分類の研究が進んだことによる場合が多い。 クロスズメダイの幼魚 昔は幼魚と成魚、あるいはオスとメスで模様が異なるものを別種と考え、別々の名前だった例がたくさんあった。クロ…