大方洋二の魚って不思議!

写真を通して魚類の生態や海について考える

ハマクマノミの不思議(最終回)

日本に分布する6種のクマノミ類の繁殖期は4月~9月。ただしクマノミは低水温に強いため、沖縄・奄美などでは年間を通して産卵する。



ハマクマノミのペア

イメージ 1どのクマノミ類も繁殖期であれば卵を世話している姿が見られるが、なぜかハマクマノミはなかなかそういう場面に出会えない。












壁の部分に産み付けられている卵
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その理由は、タマイタダキイソギンチャクが生息する場所が関係していた。ほとんどが岩の穴や隙間に生息しているため、卵を産み付けるところは必然的に壁の部分や場合によっては天井で、イソギンチャクが縮まないと見えないからだ。








卵を世話するオス
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卵が見やすいことが一度あった。しかしこれはイソギンチャクが少し縮んでいたからだ。ふだんはもっと触手が伸びているので、これほどは見えない。









天井部分に産卵するメス
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卵保護以上に観察が困難なのは産卵。これまで3回くらいしか見たことがないうえ、撮影しづらい場所なのでいい写真はない。











受精中のオス                                            

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場所が狭いので、並んでは産卵できない。メスが産みつけた後、オスが交代して受精させる。
こうしたハマクマノミの繁殖行動や卵を観察するには、注意深さと根気が必要だろう。