静岡県三保にある、東海大学海洋科学博物館「海のはくぶつかん」が、2024年10月で一般公開を終了した。老朽化が要因のようだ。1970年以来半世紀にわたって魚類などの魅力を伝えてきたが、ついに幕を閉じることになった。かかわりがあっただけに、残念でしかたがない。だが、研究は今までどおり続けていくという。
東海大学海洋科学博物館・海のはくぶつかん(HPより)
この博物館は、クマノミ類の繁殖に定評があり、何度も魚類学会で研究発表している。1981年3月にはトウアカクマノミの繁殖を発表した。84年から座間味でトウアカクマノミを撮影し始めたので、繁殖データを教えていただくために当館を訪れた。魚類学者の鈴木克美氏が副館長で、面識があったからできたことだ。そのお陰で85年5月に撮影できた。
産卵場所を掃除するトウアカクマノミ(1985年5月)
4年後、緑書房から『海水魚の繁殖』(鈴木克美・高松史朗編著)が出版された。全国の水族館とっておきのさまざまな繁殖のレポートを収録。当館のレポートももちろん入っている。カバーは、トウアカクマノミの産卵の写真が使用された。アドバイスしていただいた直後に撮影したものだ。
共生ハゼの特別企画展が開催されたこともあった。巣穴が見えるように工夫を凝らし、テッポウエビが中でどのような動きをするのかがよくわかった。
ダテハゼとテッポウエビ
入口にある円筒の水槽に、マイワシの大群が展示されていた。一方向に泳いでいる姿に圧倒されるが、突然一斉に口を開けて泳ぐので、迫力満点だった。
一般公開終了とはいえ、飼育中の生きものは続けて世話しなければならない。徐々に他の水族館などに譲って、魚類の研究に専念していただきたい。
マイワシ