大方洋二の魚って不思議!

写真を通して魚類の生態や海について考える

タツが付く魚

今年の干支は「辰」なので、「タツ」が付く魚を取り上げてみよう。真っ先に思い浮かぶのはタツノオトシゴだろう。しかしタツノオトシゴの仲間はけっこう多いうえ、20数年前に分類的な整理を行った際に、幾種かに分かれた。その結果、タツノオトシゴの最大の特徴は頭頂部にある大きくて長い突起で、そう簡単には出会えない種になった。ハナタツも以前はタツノオトシゴとされていたが、別種になった。

皮弁が多いタイプのハナタツ(土肥)

 

タツノオトシゴの仲間でも特に小さいタイプをピグミーシーホースといい、数種いることがわかっている。このピグミーは、学名からデニセといわれていたが、2020年に沖永良部島から得られた標本を基に日本初記録として、カクレタツノコと命名された。大きさは約2cm

クレタツノコ(パプアニューギニア

 

イバラタツは体全体にトゲ状のものがあるので判別しやすい。砂地の海藻などに付いていることが多い。

トゲトゲが特徴のイバラタツインドネシア

 

タツノイトコで全長約7cm。ヨウジウオに見えるが、尾ビレがないうえに尾部でものに巻き付くことができるので、タツノオトシゴ類になる。砂地にある海藻などに付いていることが多い。

タツノイトコ(伊豆大島

 

タツウミヤッコの幼魚で、全長約4cm。幼魚期は浮遊生活に好都合な皮弁があるが、成長と共に小さくなる。この個体は着底したばかりかもしれない。タツと付いているが、ヨウジウオ類になる。でも一番龍っぽい。

タツウミヤッコの幼魚(水納島