大方洋二の魚って不思議!

写真を通して魚類の生態や海について考える

オトメハゼの暮らしぶり

ハゼ科のオトメハゼは全長約12cmになり、千葉県以南の太平洋、インド洋に分布している。主にサンゴ礁域の砂地や転石帯に生息し、大抵ペアで行動している。石の下に巣穴を掘って住みかにする。白っぽい体にオレンジ色の楕円の斑紋が体側に並んでいるのが特徴。

巣穴の上でホバリングするオトメハゼのペア(座間味)

 

巣穴は縄張りに数か所あり、危険が迫ると近い巣穴に隠れる。メインの巣穴で産卵を行うが、穴を広げたり、崩れた砂を外に出すため、口に含んで運び出す行動が時折見られる。

口に含んだ砂を吐き出すオトメハゼ(奄美

 

オトメハゼを海外で見た記憶がなかったので調べてみたら、コモドで2回くらい撮っていた。

クラカケベラの幼魚と一緒のオトメハゼ(コモド)

 

砂地で争っているオトメハゼに出会ったことがある。途中からなので推測でしかないが、ペアのところにはぐれオスが来たので、ペアのオスはメスを奪われまいと追い払っているところらしい。口を開け、ものすごい形相で侵入者を威嚇している。なかなか去らなかったため、何度か侵入者に突進した。ぶつかりはしなかったが、侵入者は逃げて行った。当時のログブックを見たら、30mくらい追いかけて行った、と書かれていた。

すごい形相で侵入者を威嚇するオトメハゼ(奄美

 

成魚と未成魚のペア(?)が巣穴から姿を出していた。そこへ幼魚がやって来た。これも途中からなので状況がわからないのだが、やって来た幼魚は巣穴に入りたそう。しかし成魚は顔を近づけて“ダメ!”というしぐさ。特に争いはないまま、幼魚は追い払われた感じで去って行った。もしかして、幼魚と未成魚のペアに成魚が侵入した可能性もないとはいえないため、オトメハゼの世界も複雑なんだと思った。

成魚と未成魚のペア(?)に近寄る幼魚(奄美