ハコフグ科のハコフグは全長約25cmになり、北海道以南~屋久島、朝鮮半島南部、香港に分布している。80年代初めまではミナミハコフグと混同されていたため、分布があやふやだった。現在は琉球列島にはいないことになっているが、詳しい調査が必要とのこと。いずれにしても分布の中心は温帯域だ。
ハコフグとミナミハコフグの相違点を見つけるのは難しい。両種とも成長段階によって体色・斑紋が微妙に変化するためだ。ミナミハコフグの幼魚は真黄色の体に黒点がある。一方ハコフグの幼魚は、黄色味がかった薄茶色に黒点だが、水色の水玉模様もほんのり浮かぶ。
約4cmの幼魚(富戸)
幼魚期の黒点は成長とともに消えつつ、水色の水玉模様が全体を覆い、体の色は茶色になる。もう少し成長すると、水玉模様が六角形になる。どうやらこの体色・斑紋がメスのようだ。そして背中が青いのがオス。未成魚でオスの体色のものはいないので、成熟すると背中が青くなると考えてよさそうだ。
ハコフグのオス(三宅島)
琉球列島には分布しないとのことだが、奄美や座間味で見た覚えがある。もちろん数は少ないが、生息していると信じている。ちなみにミナミハコフグのオスは、尾柄部が黄色い。
ウツボ類に周囲の魚が、縄張り意識を持つことがある。その場合つつくのではなく、尾ビレでウツボの顔を払うようにする。沖縄や奄美で何度も観察しているので、その意味がわかってきた。「目障りなので、この場から退いてください」というお願いのようなのだ。噛みついてください的な態勢にもかかわらず、何か起こったことは一度もない。どう見ても暗黙のルールがあるようで、伊豆でも観察できたことがうれしい。