スズメダイ科のコガネスズメダイは、1830年インドネシア・アンボンで得られた標本を基に新種記載された。日本初記録の年は定かでないが、コガネスズメダイと和名が付いた。ところが、2010年ごろ、コガネスズメダイが3種に分かれた。きっかけは、オーストラリアの学者により、2005年と2009年に近縁種が新種記載されたためで、日本でも調査・再検討がなされ、いずれも分布することが判明した。そして2016年、鹿児島水圏生物博物館・岩坪洸樹、鹿児島大学総合研究博物館・本村浩之両氏の研究レポート「スズメダイ科魚類2種の記録と標準和名」が出された。ここでは、1830年新種記載種はA、2005年はB、2009年はCとする。これまで撮ったコガネスズメダイを、特徴と分布に照らし合わせて取り上げてみたい。
「スズメダイ科魚類2種の記録と標準和名」の一部

Aは従来コガネスズメダイの和名が付けられていたが、日本の標本はCであることが判明。そのためAの和名はタンポポスズメダイとした。特徴は幼魚で、体高が低く、体側は黄色ではなくグレー。成長に伴って黄色くなっていくが、グレーが残る個体もいる。

タンポポスズメダイの分布は、日本では八重山諸島西表島とある。海外ではインドネシア、マレーシア、フィリピンなど。

本種の成魚では特徴があまりないため、他種と区別しにくい。特にコガネスズメダイの尾ビレが白くないタイプとそっくりなので、外見で判断するのは難しい。別種と混泳している可能性もある。
尾ビレの色が異なる個体が一緒にいることも(インドネシア・アロール)

ラジャアンパットでナイトダイビングをしたときに、偶然タンポポスズメダイと思われるスズメダイがいて撮影した。夜にもかかわらず、さほど体色は変化していなかった。
