サバ科は、人気食用魚が多く集まるグループ。サバ属、マグロ属、カツオ属、サワラ属など日本に9属21種が知られている。その中でイソマグロ属だけがあまり食用にされない。図鑑にも「水っぽくて美味しいとはいえない」とある。マグロと付き、同じようなエサを食べているはずだが、不思議というしかない。イソマグロは全長約2mになるが、通常は1.5m以下。相模灘以南の太平洋、インド洋の熱帯~亜熱帯域に分布している。外洋を回遊しているため、出会う機会はそう多くないが、サバ科では最も遭遇率が高い。
イソマグロの若魚(座間味)
日本でイソマグロが多いのは小笠原諸島と八重山諸島だ。最初に出会ったのは小浜島と西表島の間のヨナラ水道。1979年のことで、初めて見るにもかかわらず、いかつい顔をしているのですぐにイソマグロだとわかった。
イソマグロの群れ(ヨナラ水道)
大きなイソマグロに出会ったのはタヒチ・ランギロアだった。外洋でイロブダイなどを撮影していると、突然現れた。全長1.5mくらいだった。こちらの興奮を無視するように、悠然と泳ぎ去って行った。
悠然と泳ぐ大きなイソマグロ(タヒチ)
座間味の外洋で撮影中、黒っぽい回遊魚が海底スレスレにやって来た。イソマグロの若魚だ。黒ずんでいるのは、カムフラージュのため。ここはホンソメワケベラのクリーニングステーションになっている。2尾のホンソメワケベラがイソマグロに付くと泳ぎをやめ、身を任せた。必然的に体は立つ。あちこちクリーニングされ、口の中もといわんばかりに口を開けた。
クリーニングを受けるイソマグロの若魚(座間味)