現在ベラ科ササノハベラ属は、ホシササノハベラとアカササノハベラの2種。だが、以前はどちらも「ササノハベラ」だった。そこで、両種の生態といきさつを取り上げてみたい。20数年前、ササノハベラは生息環境による色彩変異が知られていた。内湾型と外洋型だ。
内湾型のササノハベラ(富戸)
1997年にササノハベラが2種に分かれ、内湾型といわれていたほうはホシササノハベラと名付けられた。体色は茶色で、背面に白い斑点があるのが特徴。なんと本種は新種になったのだ。メスはやや小型で赤みがあり、白い斑点も小さい。
ホシササノハベラのメス(佐渡)
分布は津軽海峡以南、屋久島までで、日本海にも多い。国外では済州島、台湾に生息しているらしい。
ホシササノハベラのオス(大瀬崎)
繁殖期は初夏から夏で、オスは婚姻色になってメスに求愛する。本種の婚姻色は顔が白っぽくなるだけで、他はそれほど変わらない。
婚姻色になったオス(佐渡)
オスはテリトリーを持っていて、その中にメスが10尾くらいいるようだ。オスは見回りするかのように移動しながら、メスを見つけると急接近し、求愛する。産卵は夕方になってからのようで、観察することはできなかった。
求愛するオス(佐渡)