大方洋二の魚って不思議!

写真を通して魚類の生態や海について考える

ウロコマツカサについて

FU-KUの写真展でわりあい好評だったのは、ウロコマツカサが群れている写真だった。鮮やかな魚が同じ方向を向いているのでリズムが生じ、心地よさを感じたのではないだろうか。


ウロコマツカサ
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初めてコモドを訪れた2008年に撮った写真で、こんなにたくさん浮遊していたのは最初で最後。ロウニンアジなどの捕食場になっているからだ。








サンゴの下のウロコマツカサ
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翌年同じ場所で撮影した写真がこれ。サンゴの下が隠れがで、天敵がいないときに出てきて浮遊する。水深は26mあり、このポイントが最も多くの数が見られる。








56尾でいることが多い
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ウロコマツカサはイットウダイ科で、全長25cmになる。南日本以南の西部太平洋に分布するが、生息数は決して多くない。コモド諸島ではわりあい多く、5~6尾で群がっていたり、岩陰でじっとしている姿をよく見かける。






ウロコマツカサが表紙
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ウロコマツカサを最初に知ったのは海外の図鑑。1993年に柏島へ行った際、友人が持ってきた図鑑の表紙がそうだった。しかもそのとき実際に柏島の海中でウロコマツカサに出会い、撮影したのだった。図鑑の著者はルディー・クーターで、92年に発刊された。西太平洋の魚類が網羅されているので、すぐ入手した。




小さな根の周りにしかいない
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インドネシアでは普通種のウロコマツカサだが、日本では稀種。手元にある日本の図鑑でも、伊江島西表島柏島で撮影されているだけ。ぼくが日本で出会ったのは柏島奄美大島のみ。奄美で見たのは95年だが、水深26mにある小さな根。ごく限られたポイントでしか見られないのだ。





撮って!と現れるウロコマツカサ
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小さな根から少し離れることはあるものの、大体は根の割れ目に隠れている。静かに待っていると、「撮って! 撮って!」という感じで出てくる。この根で見つけたのは95年で、いまだにここでしか見られない不思議な魚でもある。