9年前に柏島でトビエイの仲間を撮影した。いろいろ調べたら、ようやく海遊館が出版している『黒潮の魚』に出ていて、ナルトビエイであることがわかった。そしてたまたまフィルムライブラリーからナルトビエイの写真の依頼が来て、貸したことがあった。
エサを食べるナルトビエイ
ナルトビエイは約20年前から有明海や瀬戸内海に出没し、アサリやサルボウガイ、タイラギ、カキなどの貝類を摂食したり、刺し網を破いたりして漁民を困らせているという。調査の結果、有明海を回遊する数は年間10数万~60万尾と推定され、貝類の被害は年間3000tといわれている。
アサリ漁場に杭を打つ(熊本県)
増えた理由としては、温暖化で冬の海水温が上昇したため、越冬しやすくなったこと、天敵のサメが減ったことなどが挙げられるとのこと。こうした事態に環境省や県、大学、水産関係などの機関が対策を行っている。県や漁場によってその方法は異なるが、その一つが漁場にナルトビエイが侵入できないように杭を打つことや網で覆うなどの方法だ。
しかし、それほどの効果は出ていないらしい。駆除(刺し網などで捕獲すること)が一番効果的だったと関係者は述べている。
厄介者のナルトビエイ。実は新種だった。日本初記録のとき既存種のAetobatus flagellum(英名ロングヘッデッド・イーグルレイ)と同種とした。ところが、胃内容物を調べるため捕獲して精査した結果、別種であることが判明。'13年に新種記載された。学名はAetobatus narutobiei White,Furumitsu and Yamaguchi 2013 種小名が「ナルトビエイ」になっている。新種とはいえ害魚なので、現在も駆除されている。