大方洋二の魚って不思議!

写真を通して魚類の生態や海について考える

オビテンスモドキの意外な生態

オビテンスモドキはベラ科テンスモドキ属。全長約25cmになる。日本での主な分布は南西諸島。


ガレ場が行動域のオビテンスモドキ
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グレーと茶色が混じったような地味な体色なので、あまり注目されることはない。行動域はガレ場で、きれいなサンゴが群生するようなところには現れない。




 




集まってきたミゾレチョウチョウウオ                                            
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ガレ場を行動する訳は、いうまでもなくエサ。死サンゴや小石などの下に潜む甲殻類、貝類、ゴカイ類、ウニ類などの底生動物を主食にしている。エサの探し方は豪快で、ガレキをひっくり返すたびに音や砂煙が上がり、周りの魚たちも集まって来る。同種のメスが来た場合は受け入れるが、オスだと激しく追い払う。







メスの前で巨大なガレキをひっくり返す
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オビテンスモドキはオスとメスの色彩的な違いはなく、大きいほうがオス。オスがガレキをくわえてひっくり返すのは、もちろんエサを探すためだが、もう一つ理由がある。観察してわかったのだが、ひっくり返しても自分はエサを食べず、そばに来たメスに与えているのだ。野鳥ではよく知られた行動だが、魚では極めて珍しい。






寄り添っての産卵上昇
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大きなガレキをひっくり返して、メスにエサを与える優しさと強さをアピールしているのだ。
こうされるとメスは完全にオスに惹かれ、その後の求愛を受けて産卵する。



 





まだ謎の多いオビテンスモドキ
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以前、オビテンスモドキが小石などを運んで来て、一定のところに置いているのを観察したことがある。詳しいことはわからないが、一説には寝床を作ってその下に潜って寝るらしい。まだ未知な部分が多い魚だ。