大方洋二の魚って不思議!

写真を通して魚類の生態や海について考える

藻類を育てるスズメダイ

スズメダイ科は日本に約90種生息する。その中で藻食性スズメダイは数種。代表的なのはクロソラスズメダイ、ハナナガスズメダイスズメダイモドキ、ルリホシスズメダイ、ダンダラスズメダイなど。


藻食性のクロソラスズメダイ

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そのほとんどが縄張りを持ち、藻類を育てることが知られている。藻類はイトグサというのだが、いくつか種類があってスズメダイによって固有のものだそうだ。










アナサンゴモドキとクロソラスズメダイ
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クロソラスズメダイ以外のスズメダイが育てるイトグサは、他の場所でも特定のスズメダイがいなくても育つのだが、クロソラスズメダイが育てるイトグサは「当魚」がいないと育たないらしい。いわゆる「共生」の関係なのだ。









繁殖期に見られる婚姻色
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この特殊なイトグサは、クロソラスズメダイのエサになるほか、産卵場所にもなる。したがって、クロソラスズメダイにとってはなくてはならいものといえる。










しばらくすると通常色に戻り始める                                              

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イトグサを含む藻類は、太陽光に当たって光合成をする。そのために浅くて日当たりがよい場所が適している。一方造礁サンゴも同じような場所が適していて、陣取り合戦が日夜繰り広げられている。









主な生息場所は死滅したサンゴのところ
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藻類が生育範囲を広げるにつれ、サンゴが死んでいくという現象が最近見られるようになったとのこと。また、慶良間ではクロソラスズメダイが増えていて、サンゴにダメージを与えているらしい。悩ましい問題だ。