大方洋二の魚って不思議!

写真を通して魚類の生態や海について考える

ハナダイギンポの生態は…

イソギンポ科フタイロカエルウオ属は日本に6種分布している。ほとんどは岩を這いながら主に藻類を食べるが、ハナダイギンポだけは遊泳タイプで、プランクトン食。全長約10cmで、沖縄以南の西部太平洋、インド洋に分布している。ハナダイと付いているのは、体色がハナダイ類に似ているからだが、個体によってかなり変異がある。

ハナダイギンポ(フィジー

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20年くらい前は、北限が西表島とされていた。確かそのころは正式に日本記録されていなかったと思う。現在は分布していると認められ、沖縄本島が北限になっている。日本では生息数が極端に少ないため、気づかれにくい。

体色に変異がある(座間味)

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インド洋のアンダマン海で出会ったハナダイギンポは、体色がオレンジで、キンギョハナダイの体色に近かった。

インド洋のハナダイギンポ(タイ・スミラン諸島)

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インド洋・モルディブのハナダイギンポも、ハナダイ類に近い体色をしている。キンギョハナダイと一緒に泳ぐこともあるが、擬態とは少し違う。キンギョハナダイは有毒でもないし、天敵から避けられる要素は何もない。おそらくハナダイギンポは一緒にいることで安心するのだろう。

背ビレを広げると一層ハナダイに似る(モルディブ

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ハナダイギンポは岩やサンゴなどに巣穴を持っている。休んだり産卵などに利用する。時には穴から出した顔が黒っぽく変色し、不規則な模様になることがある。縄張りから出ていけという信号だろうか。

巣穴から顔をす(タイ・スミラン諸島、白枠はフィジー

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