大方洋二の魚って不思議!

写真を通して魚類の生態や海について考える

ハナダイダマシについて

先日ハナダイギンポを取り上げたので、今度はハナダイダマシ。自分の中ではセットになっている。スズメダイ科のハナダイダマシは、プランクトン食で全長約9cmになる。沖縄以南の太平洋、インド洋に分布している。新種記載は1856年で、日本では80年代初めに西表島で生息が確認された。

スズメダイ科のハナダイダマシ(西表島

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体色もスズメダイ類に近いにもかかわらず、ハナダイと付けられたのは体型が似ているからではないだろうか。海外では生息数も多く、群れている場合もよくある。体色も少し赤みがかっている気がする。

海外では群れいることが多い(モルディブ

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日本ではその後、石垣島宮古諸島でも確認された。慶良間諸島では、90年代終わりごろに小さな根に数尾居ついているのを確認している。その後も何度か観察したが、あるとき別の根に移動していた。生息数が少ないと、何かの変化で住みにくくなり、移動せざるを得ないのかもしれない。

北限のハナダイダマシ(慶良間諸島

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ハナダイギンポのとき、キンギョハナダイは無毒で天敵から避けられる要素はない、と記した。しかし、キンギョハナダイの群れに回遊魚が突っ込んだところは見たことがない。何か嫌な物質を出しているか、味が悪いのだろうか。コモドではハナダイダマシが増加し、カスミアジに狙われることがある。体色がまだキンギョハナダイには程遠いからに違いない。

最近生息数が増えているハナダイダマシ(コモド)

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フィジーでは2タイプ見られた。コモドなどと同じ色合いのものと、少しピンクがかったものだ。後者はパープルビューティーに近い。フィジーではキンギョハナダイは見なかったので、当然の成り行きなのだろう。動物は生き延びるためにさまざまな工夫を凝らし、進化している。ハナダイダマシも少しずつ進化しているのかもしれない。

ピンクがかったタイプのハナダイダマシ(フィジー) 

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