大方洋二の魚って不思議!

写真を通して魚類の生態や海について考える

コブダイ大人気!?

 先日、ネットのニュースで「コブダイ」が人気とあった。福井県若狭町の漁師が釣り上げた約80cmのコブダイ。同県海浜自然センターに展示したところ、頭の大きなコブがユニークで、来館者の注目を集めているという。


ネットのニュース画面から

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「幼魚期の段階ではメスだが、約50cmを超えると頭部にコブが突き出てオスに性転換する珍しい魚」と紹介している。












コブダイのオス

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ダイバーから見ると当たり前のことが、けっこう珍しがられる。このような「平和なニュース」は、大きな事件や事故があるとまず取り上げられない。タイミングがよかったのだろう。コブダイ佐渡で何度か撮影している。確かにオスは頭部に大きなコブが突き出ていてユニーク。








全長4cmくらいの幼魚
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幼魚のときは変わった模様があり、同種とは思えない。30cmを超えるころに模様が消える。












腹部が膨れているのでメス

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メスもコブが突き出るが、オスほどではなく、その境界線がわかりづらい。繁殖期のメスなら腹部が膨らむのでそれとわかるが…












ヒメギンポにクリーニングされるコブダイ
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ではこのコブダイは? 成熟したメスか、それとも若いオスなのか。コブダイは強いオスが複数のメスを従えるハレムをつくる。別のオスが挑んでくれば戦い、勝利したほうはハレムを受け継げるが、敗れたオスは子孫を残せない。そこで考えられた繁殖戦略が「スニーキング」。メスのような姿でハレムオスを油断させ、スキをみてメスと産卵する。魚類ではわりあいよく使われる手だ。その場合は大きなコブは邪魔になる。