大方洋二の魚って不思議!

写真を通して魚類の生態や海について考える

幻の魚たち

古い図鑑には、日本の海で見ない魚も載っている。'84年に発刊された『日本産魚類大図鑑』(東海大学出版会)に掲載されているのはセダカヤッコ。



『日本産魚類大図鑑』セダカヤッコのページ

イメージ 1

英名はイエローバンドエンゼルフィッシュで、分布は紅海、アフリカ東岸、アラビア海。図鑑の解説には、'60年に瀬戸内海岩国沖で採集されたのが唯一の記録とある。










イメージ 2

イエローバンドエンゼルフィッシュは、中部インド洋~西部太平洋には分布しないため、水槽で飼育していたものを誰かが海に放したと考えるのが自然だろう。










タイ・アンダマン海のワヌケヤッコ

イメージ 3

『日本の海水魚』(山と渓谷社)にはワヌケヤッコが載っていて、沖縄本島が北限と記されている。しかし沖縄で一度も見たことはない。ダイバーの数が増え情報量も多くなっている現在でも見たという報告はない。'70年に記録されたらしいが、どのような状況で見つかったかは不明なのだ。







イメージ 4

ハシナガチョウチョウウオは先述の2冊の図鑑と、'75年発刊の『魚類図鑑 南日本の沿岸魚』(東海大学出版会)にも掲載されている。分布は石垣島以南となっている。日本初記録種は基本的には標本が必要なのだが、チョウチョウウオ科やキンチャクダイ科は独特な体色・斑紋をしているため、目視でもOKと聞いたことがある。






イメージ 5

レモンチョウチョウウオも日本では見ないが、どの図鑑にも載っている。成魚は沖縄で、幼魚は駿河湾で採集例があるらしい。

目視では見間違えもあるので、日本初記録にするには日付も記録されるデジタルカメラでの撮影も必要ではないだろうか。