大方洋二の魚って不思議!

写真を通して魚類の生態や海について考える

ミミックオクトパスの擬態!?

ミミックオクトパス、つまり擬態するタコについては以前も書いたことはあるが、また書いてみたい。このタコは小型で、腕を伸ばしても約20cm。カレイやウミヘビ、ミノカサゴ、ウミシダ、ミミイカ、ジョーフィッシュなどに擬態するといわれている。
 
ミミックオクトパス(インドネシア・レンべ)
イメージ 1ミミックオクトパスが知られるようになったのは定かではないが、'90年代初めごろではないだろうか。外国のダイビング雑誌で見た覚えがある。写真で見る限りでは縞模様が印象的だった。 
 
 
 
 
 
 
 
 
『Coral Seas』に載っているミミックオクトパス
イメージ 2'98年出版されたロジャー・スティーンの写真集『Coral Seas』にミミックオクトパスの擬態の数々が掲載された。彼はオーストラリアの著名な水中写真家。
スナイソギンチャク、ウミシダ、イカ、カレイ、ウミヘビ、ヒトデ、ジョーフィッシュ、クラゲなどに真似している(?)ミミックオクトパスの写真が載っている。 
 
 
 
 
 
縞模様ははっきりしてない
イメージ 3すごいタコだとは思うが、疑問もある。当然の理由(有毒など)があって天敵から避けられる生物を真似することで「擬態」は成り立つ。果たしてミミックオクトパスはどうだろうか? インドネシアのレンべで観察した。4個体の観察なので確かではないかもしれないが、擬態とは程遠いと感じた。ミミックオクトパスは砂地に生息し、大部分を砂に埋めている。特徴と思われる縞模様も薄い。
 
 
 
 
刺激を受けると縞模様が現れる(上の写真から約40秒後)
イメージ 4それをガイドが指示棒で引っ張り出す。刺激を受けると興奮して縞模様が現れてくる 。砂の中に潜ろうとしてもガイドは許さない。お客が撮影しやすいようにするのが役目だから。
 
 
 
 
 
 
 
 
逃げるときはカレイそっくり
イメージ 5隠れられないとわかるとミミックオクトパスは、泳いで逃げる。最も抵抗力なく速く泳げるのがカレイの形で、擬態でも何でもない。「ウミヘビ」も、砂に潜るときに腕を順番に入れるといつかは2本になる。それを撮ったのだ。
たまたま形を器用に変えることができたため、おもしろがられてしまったミミックオクトパス。これからも翻弄されることだろう。