大方洋二の魚って不思議!

写真を通して魚類の生態や海について考える

気になるニザダイの分布

ニザダイという魚がいる。タイと付いているが、タイ科ではない。ニザダイ科でハギの仲間。地味であまり人気がない。 
 
群れで移動中のニザダイ八丈島
イメージ 1伊豆半島などの温帯域に多く生息し、伊豆諸島では大きな群れがよく見られる。サンノジと呼ばれることもある。尾柄部にトゲを囲むような黒い斑紋が三つ(四つの場合も)あるからだ。
 
 
 
 
 
 
 
 
引っ掻き傷のような模様を出して争う(三宅島)
イメージ 2'84年に三宅島で潜っていたとき、ニザダイが縄張り争いをしていた。2尾がめまぐるしく体をぶつけるようにして争っていた。驚いたことに、体側に引っ掻いたような白い模様が出ている。珍しいので、慌ててニコノスを向けてシャッターを切った。 
 
 
 
 
 
 
 
イメージ 3ニザダイは伊豆諸島周辺でよく見られる一方、かなり通っている慶良間諸島で見たことがなかったことから、沖縄には分布していないものと思っていた。ところが、'93年に沖縄本島の砂辺で潜っていたら、ニザダイの幼魚がいたのだ。 黒潮があるので、伊豆諸島から卵や稚魚が南下することは考えにくい。どういうことなのか気になっていた。
 
 
 
 
 
コバンザメをつけたニザダイ伊江島
イメージ 4それから4年後、沖縄の伊江島ニザダイの成魚を見た。それもコバンザメと一緒の姿を。やはり沖縄にも分布しているのだろうか。 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
外洋の断崖周辺を活動域にするニザダイ伊江島
イメージ 5さらに2年後、同じ伊江島ニザダイの群れに遭遇した。これで沖縄にも分布していることが確かになり、スッキリしたのだった。
沖縄であまり見られない理由としては、活動域がサンゴ礁ではなく、外洋の断崖周辺だからで、おそらく住み分けの結果なのだろう。