大方洋二の魚って不思議!

写真を通して魚類の生態や海について考える

トラフザメの保護活動

ナショナルジオグラフィック7月号の特集記事に「サメを再び海へ」がある。国際的な保護団体がインドネシアのラジャアンパットでサメの調査を行ったところ、特にトラフザメが絶滅の危機に瀕していることが判明。漁業の対象になっているかららしい。そこで、この海域でトラフザメの生息数回復に取り組む保護団体の活動を紹介している。

トラフザメ(ナショナルジオグラフィックより)

 

トラフザメは卵生で、海底に1個か2個の卵を産むらしい。今回はオーストラリアの水族館で産まれた卵をラジャアンパットに輸送し、研究所の生け簀で管理して育てているという。

トラフザメの卵。すでに幼魚が動いている(ナショナルジオグラフィックより)

 

そして今年無事にふ化し、海に放流したという。トラフザメの幼魚は成魚とは模様が異なり、黒い体に白の縞模様。一説によると、有毒のウミヘビに擬態しているというが、真意のほどは不明。

トラフザメの幼魚(ニューカレドニア・ヌーメア水族館にて)

 

トラフザメは全長約3.5mに達し、新潟県以南の太平洋、インド洋に分布するが、見られるのは主に熱帯海域。性格はおとなしく、海底にじっとしていることが多い。したがって容易に捕獲されてしまう。インドネシアのトラフザメを回復させようとする水族館は他にもあり、アメリカからもラジャアンパットの研究所に卵を送っているという。こうした協力の基、生息数が回復することを願うとともに、ラジャアンパットの海で実際に会いたいと思っている。

トラフザメの成魚(タイ・カオラック