大方洋二の魚って不思議!

写真を通して魚類の生態や海について考える

シルエット写真の魅力 

影絵のようなシルエット写真は、見た瞬間心に残る。インパクトがあるからだ。色や質感は省略しているため、生物写真としては向かないが、普通の写真の中に1点入ると、かなり存在感を増す。水中写真の場合、海底から水面方向にカメラを向け、逆光状態で生物などを入れて撮れば、簡単にシルエット写真になる。もちろん照明は当てない。

ハナヤサイサンゴの仲間(コモド)

 

シルエット写真を撮るうえで注意したい点は、形がおもしろいものや複雑なものを選ぶこと。魚の場合は輪郭でわかるものが望ましい。ミノカサゴ、マンタ、アカモンガラなどが向いているが、向きにも注意が必要だ。

ツバメウオ(座間味)

 

座間味のサクバル漁礁というポイントで、コンクリートブロックに付着したサンゴがかなり大きくなっていた。比較的成長が速いミドリイシの仲間だ。確かな年数は不明だが、10数年は経っているだろう。ストロボを当てて普通に撮ったのが下の小さな写真。それを真下から撮ってみた。

ミドリイシの仲間(座間味)

 

風景の中に主役の魚を配し、シルエットで撮ってみた。通常は照明を当てて撮ることがほとんどなので、一風変わった写真になった。

ウミシダとヤシャベラ(奄美

 

海底断崖から枝状サンゴが伸びていた。小魚が隠れ場所として利用している。シルエットで狙っていたら、ダイバーが通った。サンゴだけなら造形、アート系の写真になるが、人物や小魚が入ることによって「生活」「文化」「温もり」などの要素が加味される写真になるから不思議だ。

枝状サンゴとダイバー(ラジャアンパット)