水中撮影するときストロボは必須だが、どのようなう役目があるのだろうか。地上で写真撮影するときにストロボを使う理由は、暗いところを明るくするためだ。水中の場合も明るくするためなのだが、もう一つ重要な理由がある。色を出すためだ。水中は、太陽光が水面から入り込むにつれて暖色系から吸収される。水深3mくらいで影響が出るといわれている。
海底断崖のヤギとウミシダ。ストロボなしとあり(モルディブ)
暗いところを明るく写すだけなら、露出(シャッター速度、絞り)で調節できる。水深約15mの砂底に立つウミエラ。周囲の明るさに合わせ、適正露出で撮影した。だが、水中の特性で色が出ていない。
左・露出は適正だが、ストロボなしなので青かぶりしてる(大瀬崎)。
同じところでストロボをつけて撮ったのが右の写真。色が出ている。ウミエラを引き立てるため、左の写真より1絞り絞っている。
水中の場合、太陽光が水面を通して入ってくる関係上、水面近くが最も明るいことになる。それゆえに水面近くではストロボは必要ないと考える人が結構多い。しかし、強い光が来るということは、影も強く出る。そのため、ストロボを使って影を弱める、というテクニックもある。
水面近くのダイバー。ストロボなし(座間味)
顔の表情を出すためにストロボを当てた。写真全体としてはストロボなしでもいい感じなので、どう表現するかでストロボの有無を考える必要がある。
ストロボあり
風景写真の場合は、きれいな生物がないときにはストロボを当てないほうがよい感じになることもある。左の写真は、水深が5mくらいなので、サンゴなどの陰が出てコントラストが強くなり、しまって見える。ストロボなし(座間味)
同じところでストロボを当てたのが右の写真。コントラストが弱まったと同時に、見せたくないものを見せる、という写真になってしまう。ストロボあり。
ストロボ光は、1/1000秒くらいの速さで光る。そのため、シャッター速度が1/30秒でも、1/250秒でも、シャッターが開いてる間にストロボ光は通過する。したがって、シャッターではストロボ光の強弱を調節することはできない。一方、絞りでは調節できるが、同時に自然光の部分も調節することになるため、画面全体に影響する。
同じイソカサゴをシャッター速度を遅くして撮ったのが右の写真。背景の水が自然光の部分で、シャッターを遅くしたことにより、明るく(青く)なった。しかもストロボの当たったところは変わらない。これらはマニュアル撮影する場合の方法で、このような基本的な知識があれば、いろいろな表現が可能になる。
イソカサゴ。絞り11 シャッター 1/125秒 絞り11 シャッター1/30秒(大瀬崎)