大方洋二の魚って不思議!

写真を通して魚類の生態や海について考える

光芒を求めて

背景に光芒(こうぼう)が写っている水中写真が大好きだ。光芒とは、光のすじのこと。地上では、日が傾いたころに雲のすき間から日が射すときに光芒が見えることがあるが、写真に撮るのは難しい。その点、水中では比較的簡単。とはいえ、ただ単にカメラを太陽に向ければいいわけではなく、いくつかの条件が揃わなければならない。これまで深く考えたことはなかったので、考察してみたい。

海底洞窟では光芒が見やすい(座間味)

 

光芒が写っている写真を調べてみると、海底洞窟で撮ったものが多い。天井部分に穴があって、そこから太陽光が射し込むと光芒ができやすいようだ。この写真は、海底洞窟の天井部分が大きく開いていて、その上にマングローブの木々がある。

海底洞窟と光芒(ラジャアンパット)

 

さらに調べると、水面上に何もないところでも光芒が写っている写真がある。それらを撮った水深は4m前後。どうやらこの深さに意味があるようだ。10m以深では太陽は明るく写るものの、光芒はなくなってしまう。

キンメモドキの幼魚と光芒(富戸)

 

もう一つ大事なのは太陽光の角度で、やや斜めがいいようだ。おおまかにいうと、午前10時前後と午後4時前後。そして波があまりない穏やかなときが望ましい。波があると光が分散してしまうからだ。

ボラが後光を射しているかのような光景(大瀬崎)

 

光芒は神秘的に見えたり、神々しく感じたりするので、誰もが魅了される自然現象といえる。撮影のために見い出すのは難しいが、これからも探求していきたい。

マングローブが生い茂る島の光芒(インドネシア・マノクワリ)