サメは泳ぎ続けなければ呼吸できずに死んでしまう、といわれている。確かにそのようなサメも多い。だが世界で400種以上いるサメの中には、泳ぐのが苦手なものもいるので、取り上げてみたい。まずはネコザメ科のネコザメ。千葉県および新潟県以南~九州、朝鮮半島、中国沿岸に分布し、全長120cmに達する。サザエを噛み砕くほどなので、サザエワリという地方名もあるほど。
ネコザメ(初島)
次はトラフザメ科のトラフザメ。全長約3.5mになる。南西諸島以南の西部太平洋、インド洋に分布する。日本にも分布しているようだが、めったに見られない。砂地の海底で休んでいることが多く、近寄ると泳ぎ出すものの、すぐに海底に降りてしまう。
トラフザメ(タイ・カオラック)
メジロザメ科のネムリブカは全長約160cmになり、鹿児島県以南の太平洋、インド洋に分布している。日本では洞窟や岩陰など暗いところで休んでいることが多いことから、この名が付いた。海外では開けた海底で休んでいたり、泳いでいる場合もよくあるので、お国柄なのだろうか。休んでいても呼吸できるのは、呼吸器官である噴水孔が大きいかららしい。
ネムリブカ(ラジャアンパット)
テンジクザメ科のラジャ・エポーレットシャークは、1mくらいにしかならない小型のサメで、別名ウォーキングシャークという。昼間は岩陰などで休んでいて、夜に活動する。その際、胸ビレと腹ビレを手足のように動かし、まるで歩いているように見えることから、この名が付けられた。潮が引いたところも移動することができる。ラジャアンパットの固有種。
ラジャ・エポーレットシャーク(ラジャアンパット)
カスザメ科のカスザメは、全長約150cmになる。エイのような体型だが、エラが胸ビレのつけ根付近にあるので、レッキとしたサメ(エイはエラが腹側にある)。北海道以南琉球列島、東シナ海に分布している。砂地に潜って体を隠し、目だけ出して小魚や甲殻類、軟体類などを待ち伏せする。練り製品の材料にもなっているらしい。
砂の中から姿を現したカスザメ(伊豆大島)