大方洋二の魚って不思議!

写真を通して魚類の生態や海について考える

ウイゴンべについて

ゴンべ科のウイゴンべは房総半島以南の太平洋、インド洋に分布している。全長約19cmになるらしいが、通常見られるのは10cm前後が多い。同科は日本に14種分布しているが、本種が最も遊泳性がある。それは尾ビレを見ればわかる。湾入し、両端が糸状に伸び、色合いからもキンギョハナダイと見間違えてしまうくらいだ。

泳いで移動するウイゴンべ(伊豆大島

 

ゴンべ類は見通しがよい高いところで休む傾向があるが、本種も例外ではない。特にカイメンを好むようで、上に乗っている姿を見ることがよくある。

カイメンの上で休むウイゴンべ。下にいるのはイソカサゴ(富戸)

 

ウイゴンべを初めて見たのは伊豆海洋公園で、80年代初めごろだった。その後は伊豆大島や大瀬崎、土肥などで出会ったため、分布を確認しないまま伊豆半島を中心に温帯域の魚と思い込んでいた。ところが、海外などでも見るようになり、改めて世界中に分布することがわかった。生息数がさほど多くないため、誤解してしまったようだ。

駿河湾で出会ったウイゴンべ(大瀬崎)

 

奄美でも出会ったが、やはり生息数が多くないために、通い始めてから20年経ってからだった。その後奄美では幼魚にも出会った。

全長約4cmのウイゴンべの幼魚(奄美

 

ウイゴンべはほとんどの場合単独で見られた。生息数が多くないという証でもある。ところが、沖縄の水納島10尾くらいの群がりに出会ったのだ。あるポイントで潜ったときだが、それまで他のポイントでは見たことがなかった。どうしてそこだけなのか、またなぜ多数なのか、今でも謎のままだ。

1か所に群がっているウイゴンべ(水納島