ウミヘビ科のホタテウミヘビは、東京湾以南の西部太平洋、朝鮮半島沿岸に分布し、砂泥底に生息している。全長約1mになる。5年前までは、ホタテウミヘビとミナミホタテウミヘビは混同されていた。図鑑ではホタテウミヘビの分布は東京湾~鹿児島で、ミナミホタテウミヘビはサンゴ礁域とあったため、奄美や沖縄で出会うものは勝手にミナミホタテ…と解釈していた。ところが、2018年発刊の『日本魚類館』(小学館)で詳細に両種の特徴が記されており、ホタテウミヘビの分布も琉球列島や西部太平洋が加わった。外見では背ビレの前方が黒という特徴があるので、判別できた。
砂から顔を出すホタテウミヘビ(マブール)
ホタテウミヘビは夜行性で、昼間は砂に潜って顔だけ出している。夕方、暗くなり始めると砂底に出て砂の中に潜んでいる獲物を探して捕食する。
辺りが暗くなるとエサを求めて泳ぎ出すホタテウミヘビ(マブール)
暗くならないと泳がないと信じていたが、奄美で明るいうちから泳いでいるホタテウミヘビに遭遇した。砂底に口を付けるように移動しているので、エサを探しているのは明白だ。
エサを探しに移動するホタテウミヘビ(奄美)
しばらくすると、何かを見つけたようで、直立するようにして尾の先で穴を掘りだした。体をくねらせながらドリルのように体が沈み、砂煙が上がる。
尾の先で砂を掘ると砂煙が(奄美)
すると突然体を反転させ、口を砂の中に突っ込んだ。見えないが、何かをくわえたみたいだ。体を振るわすようにしながら顔を出したら、細長いものをくわえていた。ゴカイ類にしては大きすぎるので、貝類かもしれない。あっという間に飲み込んだ。
捕食行動の一部始終が昼間観察できたことは、とても珍しくもあり貴重な体験だった。
砂の中から獲物を捕らえたホタテウミヘビ(奄美)