「食欲の秋」ということで、食欲旺盛な魚たちに登場願おう。藻食性の魚といえばハギ類、アイゴ類、ブダイ類、一部のスズメダイなど。藻はエサとしては大きくないので、しょっちゅう食べないと満腹にならない。そんなワケで、食べている姿はよく見られる。ブダイ類は、死サンゴの表面に付着している藻類を食べるが、骨格ごとかじり取る場合もある。
藻を食べるオビブダイ(座間味)
エソ類は魚食性で、海底でじっとしながらスキを見て小魚を襲う。砂地で何かを捕えた若いエソ。獲物はどうやらネズッポ科のようだ。
小魚を捕えたエソ(奄美)
プランクトン食性といえばジンベエザメやマンタだ。カスミチョウチョウウオのように小型のものもいるが、プランクトンが小さすぎるため、食べている様子がわかりにくい。マンタは潮を読んで、プランクトンが多く集まるところを把握している。口を大きく開けてお腹いっぱい食べる。
プランクトンを食べるナンヨウマンタ(コモド)
目の前で、ヒレグロベラがウニをくわえた。どうするのか見ていたが、くわえたまま遠くへ去って行った。その様子から、そのまま噛み砕いで食べたようだ。痛さよりも食欲が勝ったのだろう。
ウニをくわえたヒレグロベラ(座間味)
移動中、アカククリがミズガメカイメンを食べているところに出会った。カイメンの中が黄色いのは意外だったが、表面はとても堅いので最初にアカククリがかじったとは考えにくい。これだけ大きく壊れているので、人為的(例えばボートのアンカー)なことなのかもしれない。それにしても、カイメンがエサになるとは思いもしなかった。
食欲旺盛といっても魚の場合は、生きるための最低限の食事で、すべて自然のサイクルの範囲内だ。人間の食生活のように、環境に悪影響を与えることはない。
カイメンを食べるアカククリ(マレーシア・シパダン)