大方洋二の魚って不思議!

写真を通して魚類の生態や海について考える

身近なハンター・エソ

海の中には、さまざまな食性の魚が生活している。もちろん肉食性もいるが、獲物をくわえている場面にはあまり出会えない。小さな獲物なら素早く飲み込むからで、大きすぎた場合は、横取りされないよう本能的に岩陰に隠れてしまうからだ。そんななかで、最も身近なハンターはエソ類で、獲物をくわえている姿をよく見る。

のどを膨らますヒトスジエソ。エソ類は鋭い歯を持つ(奄美

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エソ類は獲物をくわえると、口のほうから飲み込んでいくが、逃げられないために弱るまでしばらくそのままにしていることが多い。それでダイバーに見つかりやすいのだろう。

ハタンポをくわえたアカエソ(三宅島)

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生息場所の多くが砂地ということもある。隠れるところがないうえ、競合する魚が少ないため、横取りされる心配がないのだろう。カワハギをくわえたオキエソに出くわした。オキエソは横取りを恐れて逃げ、3mくらいで着底。正面から撮りたくて近寄ると逃げるを繰り返し、ようやく撮れた。オキエソは疲れ果てたのかもしれない。

カワハギをくわえたオキエソ(大瀬崎)

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口から棒のようなものを出したエソがいた。近寄ると、どうやらネズッポの仲間を捕らえたようだ。頭のほうを飲み込んでいるので、焦る必要はない。ゆっくりと飲み込んでいくのだろう。

ネズッポの仲間を飲み込むエソ類(奄美

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ミナミアカエソの若魚が、ヒレナガネジリンボウをくわえていた。獲物が大きすぎたようで、どうしていいかわからない様子。逃げることもできず、ただじっとして弱るのを待っているみたいだ。ダイバーに大人気のハゼを獲物にするとはとんでもないと思うだろうが、エソにとっては単なるエサでしかない。

貴重なハゼをくわえたミナミアカエソ(奄美

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