大方洋二の魚って不思議!

写真を通して魚類の生態や海について考える

写真展「海で逢いたい」東京展終了

3日からO美術館で開催していた写真展「海で逢いたい」東京展が、8日無事終了した。行動制限が緩和された関係で、大勢の方々がお見えになり、昨年と比較しても見通しは明るいと感じた。

土・日はたくさんの入場者が

 

 

今回はマンタをクリーニングするミゾレチョウチョウウオの写真を出品した。

「新たな共生」

マンタが静止すると一斉にクリーニングするミゾレチョウチョウウオ。このような習性はないにもかかわらず…。デリバリーを発見できたのは好奇心が強いからだろうが、こうした行動はまだ知られていない。

インドネシア・コモド諸島 水深23m

生態に詳しい人はすごいと言ってくれたが、詳しくない人は何も感じなかったらしい。

 

今回の展示数は約60点だが、一番よいと思ったのは安藤光代さん撮影のサクラダイの大群。西伊豆の深場である時期に見られる現象で、撮影水深はなんと40mとか。魚眼レンズで接近してサクラダイの群れを画面いっぱいに撮る技術は卓越している。

サクラダイの写真

 

次も安藤さんの写真で、被写体はジンベエザメ。これも魚眼レンズで接近して撮っている。迫力があるのだが、魚に詳しい人から見ると、少し違和感があるだろう。なぜか? 魚眼レンズの特徴として、近くは大きく、離れると小さく写る。そのため、尾ビレが小さくなり、ジンベエザメの特徴が失われてしまっている。

ジンベエザメの写真

 

比較しないとわかりにくいので、89年に座間味で撮ったジンベエの写真を。これはニコノスV15mmレンズを付けて撮っている。カメラと被写体の間はかなり離れているので、ジンベエの体型はほぼ正確。こうして比べてみると、外洋を回遊するのに適した大きい尾ビレというのがわかる。レンズや撮影方法によっては、魚の特徴を損なう場合もあるので、注意する必要がある。

体型がわかるジンベエザメの写真

 

展示作品のなかにデバスズメダイを被写体にしたものがあり、メンバーから「デバスズメダイの色がきれいに出ない」という話があった。確かに難しいが、ライティングを工夫することにより、きれいな色にすることができる。ポイントはストロボを斜めから当てること。大群の場合、そうしても数尾は強く当たりすぎて白く飛んでしまうことがあるが、全体のバランスを考えればいいのではないだろうか。

デバスズメダイの群れ(座間味)