サンゴ礁域で見られるタコの大部分はワモンダコ。目の近くに丸い斑紋があるため、輪紋タコと付けられた。体を伸ばすと70~80cmになる。8本の足は、ものをつかんだりでき、手のような働きをすることから腕(うで)という。ふだんは岩の隙間や穴に潜んでいるが、エサを探しに出ることもある。エサは貝類や甲殻類だ。
穴から出たワモンダコ。変わったポーズをとっている(座間味)
ワモンダコに限らず、タコは体色や体型を瞬時に変化させることができる。穴から出て様子を見ているワモンダコを見つけ、近寄って撮影した(写真左)。ストロボの光に驚いたのか、すぐさま体色を変えた。そのとき撮ったのが右で、9秒後だった。
体色変化が得意なワモンダコ(奄美)
獲物を見つけると覆いかぶさる。そして腕の間の膜を広げる。透けて明るく見えるために獲物は上へ向かうが、待っているのは口というワケ。
腕を広げて獲物を捕らえる(座間味)
奄美や沖縄での繁殖期は初夏~夏。不思議なことに、オスとメスはこの時季になると出会う。おそらくフェロモンが分泌されているからだろう。外見では区別つかないが、オスが交接椀(こうせつわん)を伸ばすのでわかる。オスとメスが離れていても、交接腕が届く範囲であれば交接することが可能。
オスが交接椀を伸ばして交接中(奄美)
交接している時間は、けっこう長いこともある。上の写真撮影のとき、いろいろな方角から狙った。また、マクロレンズ付きカメラでも撮影した。オスは縦位置、メスは横位置のアップで撮ってみた。そして、その写真をつなげたのがこれ。
ワモンダコの交接(奄美)
オスが相手を間違えることもある。2匹のワモンダコが接近し、片方がアプローチした。するとアプローチされたほうは怒って攻撃。どうやらどっちもオスだったようだ。激しく争いながら1~2m移動し、しばらくにらみ合った後、互いに別方向に去って行った。もしかしたら、フェロモンを感じ取れない個体もいるのかもしれない。
左の個体がアプローチ(上)。移動後のにらみ合い(奄美)