大方洋二の魚って不思議!

写真を通して魚類の生態や海について考える

養殖モズクの想い出

61日のNHKあさイチ」は、沖縄モズクの特集だった。養殖モズクには、ちょっとした想い出がある。養殖モズクは70年代中ごろに始まり、その後座間味村でも安慶名敷島(あげなしくじま)と阿護の浦で行われた。モズクの養殖は、穏やかな海底に鉄の杭を打ち、網を張って種つけをし、育ったら掃除機のようなもので収穫する。しかし、沖縄各地でも盛んになり暴落。座間味村漁協は事業として廃止した。80年代初めまであったが、個人的なものらしい。

海底に張られた網にモズクが育つ(1982年)

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80年ごろ、ダイビングサービスのスタッフから電話があった。阿護の浦で「新種のクマノミを見つけた」というのだ。モズク収穫の際、近くにいたらしい。体色・斑紋からトウアカクマノミと判断したが、その後行ってみると、威嚇してきて撮影どころではなかった。改めて夜に行って撮影することができた。後にこのトウアカクマノミの観察・撮影を続けたが、いつしか威嚇しなくなった。

初めてのトウアカクマノミ82年)

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養殖は廃止したものの、鉄の杭はそのまま残っている。ここで潜るほとんどのダイバーはその理由を知らないが、今では杭にサンゴが付着して育っている。

鉄の杭で育ちつつあるサンゴ(11年)

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阿護の浦へは、14年にNHK「さわやか自然百景新春特集」のロケで行った。トウアカクマノミを見に行くという設定で、そのついでに鉄の杭のところへも行ってみた。やはりサンゴが育っていた。沖縄のモズクだけでも想い出が広がるのは、長い間ダイビングしてきた証といえるだろう。

鉄の杭のサンゴとNHKスタッフ(14年)

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