大方洋二の魚って不思議!

写真を通して魚類の生態や海について考える

シロボシアカモエビについて

クリーニングシュリンプは日本に約10種いるが、最も希少なのはシロボシアカモエビだろう。脚が白いため、英名ではホワイトソックス、またはスカーレットクリーニングシュリンプという。大きさは4cmほどで、水深20m前後にある根に生息している。穴や隙間など暗いところにいるうえ、警戒心が強いので撮影するのは困難。

あまり人目につかないところに生息するシロボシアカモエビ(西表島

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日本で初めて図鑑に載ったのは1986年発刊の『フィールド図鑑 海岸動物』(益田一、林公義他・東海大学出版会)。沖縄で発見されて日本初記録種になり、新称シロボシアカモエビと付けられた。このときの写真が座間味で撮られたものだった。場所を聞いて撮りに行ったが、姿を確認できたかどうかも忘れてしまった。

シロボシアカモエビとタテジマキンチャクダイの幼魚(座間味)

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それから約10年後、ニシハマというポイントの水深24mの根にいることがわかり、何度か撮影した。先述したように警戒心が強いため、撮影は難しいが、複数個体いるようで、09年に潜ったときは、5個体確認した。

複数でいることが多い(座間味)

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奄美の北部で潜ったとき、砂地にある根で本種がいた。そばにはゴマウツボもいて、クリーニングが見られるチャンスだったので、しばらく粘り、ようやく捕ることができた。

ゴマウツボをクリーニングするシロボシアカモエビ(奄美

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15年、大阪に水族館「ニフレル」の新設計画があり、知り合いのチームリーダーから相談を受けた。その一つがシロボシアカモエビの生態や生息環

境についてだった。オープンしたのて見に行くと、伝えた生息環境とはまったく異なる展示。シロボシアカモエビがたくさん入った水槽があるだけだった。「ニフレル」は、感性に触れるというコンセプトなので、誰でも見ることができる展示でよかったと思ったのだった。

ケラマハナダイをクリーニング(座間味)

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