カミソリウオ科のカミソリウオは全長約8cmで、相模湾以南の西部太平洋、インド洋に分布している。以前はフウライウオと呼ばれていたが、分類学的に混乱していたため1994年に整理され、和名がカミソリウオになった。同科は日本に3種分布し、他はニシキフウライウオとホソフウライウオ。いずれも海藻やウミシダのそばにペアでいることが多い。メスのほうが大きく、色彩変異が多いのも特養。
海藻の切れ端のようなカミソリウオのペア。半透明のほうがメス(奄美)
カミソリウオのエサは小型の甲殻類で、ウミシダや海藻の中に潜んでいるエビやカニなどを食べる。
ウミシダに住み着いたカミソリウオのペア(座間味)
一般的な体色は茶色で、黒や緑、赤などもいる。
メスだけが赤いペア(富戸)
サボテングサなど緑の海藻のそばにいる緑のカミソリウオを写真で見て、ぜひ撮りたいと思っていたが、沖縄や奄美では出会えなかった。だが、2004年にモーリシャスへ固有のクマノミを撮りに行ったとき、出会えた。そばの海藻は緑ではなかったが。
メスが緑っぽいカミソリウオ(モーリシャス)
中にはヒレがあまり大きくないものもいる。はたして同種なのか気になるが、判別する資料がない。
薄紫のカイメンにそっくりなペア(マブール)
実は緑っぽいカミソリウオを三宅島で撮ったことがある。でも通常のカミソリウオとは体形などがやや違うので、どこにも発表していなかった。体側に節のようなスジがあるのも、通常のカミソリウオにはない特徴だ。カミソリウオは奥が深い。
ヨロイを着たようなカミソリウオ(三宅島)