大方洋二の魚って不思議!

写真を通して魚類の生態や海について考える

さわやか自然百景

3/17(日)NHK『さわやか自然百景』は、鹿児島県の沖永良部島だった。かなり海中シーンが多かったので、誰が撮影したのか楽しみに見ていた。

さわやか自然百景のタイトル

 

沖永良部島は地形がダイナミックな部分もあり、アーチが見られるのも特徴。

ダイナミックな地形

 

魚類ではハマクマノミ、セジロクマノミ、アカヒメジ、ヨスジフエダイギンガメアジなどが登場した。

セジロクマノミギンガメアジ

 

また、冬季はザトウクジラが来て子育てすることも知られている。今回は生まれて間もない子クジラも映っていた。ドローンでの撮影とともに、水中も撮っているので、すごいなと思った。

ザトウクジラの親子

 

クレジットを見たら、制作協力は「水中映像工房・凪」とあった。昨年NHKを早期退職して制作プロダクションをつくったKさんの会社で、よく知っているカメラマンだ。さすがという気がした。“働き方改革”で外注が増えるはずなので、今後もNHKの自然番組で見らえることだろう。

ラストシーンのクレジット

 

 

 

第27回「海で逢いたい」東京展開催!

標記写真展が315日(金)より始まった。今回は巡回展の神戸展は1か月前に開催。こんなに間が空くことはなかったため、やや戸惑った感じがした。

海で逢いたい東京展の案内状

 

それでも初日の10時前から関係者や有志が集まり、設営を行った。展示作は神戸展より10数点増え、63点。設営についてはみんなベテランになったので、開催時刻の1時間前には終了した。

初日にもかかわらず、知り合いが数名来てくれた。例年より上々のスタートだ。明日は久しぶりにレセプションもあるので、みんなも楽しみに違いない。

設営前と設営を終えた会場

 

前述のように、神戸展と東京展が1か月も間隔があったことで、出品作の提出期限もそれなりに遅くなった。そのため、プリントチェックも神戸展と東京展で新たに追加する分を別々に行うかたちになった。

神戸展用のプリントチェック(日本カメラ博物館にて)

 

今回の出品作は、組み写真にした。コロナの影響でここ数年出品数が減少しているので、対策を考えようとスタッフと話した際、いくつかの案が出た中で、組み写真もその一つだった。複数の写真で一つの被写体をよりわかりやすく伝える技法として「組み写真」は有効で、発想を変えることによってストック写真からでも出品できるメリットがある。そうした提案のつもりで今回の作品を選んだ。

今回の出品作で、タイトルは「ナニ見てんのよ!」

 

春季慰霊大法要

310日、東京都立横網町公園内の東京都慰霊堂に於いて、春季慰霊大法要が行われた。79年前の東京大空襲310日ということで、毎年この日に行われている。この慰霊堂には、関東大震災192391日)と東京空襲で犠牲になった163000体の遺骨が安置されている。午前10時から秋篠宮ご夫妻、小池東京都知事らが参列され、法要が行われたとニュースで報じていた。

NHKのお昼のニュースより

 

午後、焼香をしに行った…。終戦3年前に墨田区で生まれ、東京大空襲で生家は焼失したが、疎開していたお陰で助かった。国からの情報を信じて東京に居続けていたら、ここに眠っていたはず。両親の決断に感謝しかない。

現在、東京都慰霊堂から徒歩数分のところに住んでいる。これも何かの因縁だろう。

慰霊堂の内部

 

慰霊堂内には、関東大震災のときの油絵と東京大空襲のときの写真が飾られている。写真は報道カメラマンだった石川光陽氏のもの。浅草、市谷、八王子など各地の写真があるが、混乱状況の中、苦労しながら取材した様子が伝わってくる。

3/10に撮影された焦土と化した浅草(慰霊堂内に展示の写真)

 

焼香を終え、買い物しての帰りに再び慰霊堂の前を通ると、右翼の車が5台くらい入口に停車していた。靖国神社ならわかるが…どういうことだろう。

入口付近に停まっている右翼の車両

 

フタホシタカノハハゼの体色

ハゼ科のフタホシタカノハハゼは、奄美大島以南の西部太平洋、インド洋に分布し、内湾の砂泥底にテッポウエビ類と共生している。全長約8cmで、焦げ茶色の不規則な斑紋が全体に広がり、頬に細長くて黒い斑紋二つあるのが和名の由来。日本に生息が確認されたのは1990年ごろで、当初は未記載種扱いだった。約30年後、既存種(1932年に新種記載)と同じと判明した、と2021年に出版された『新版 日本のハゼ』(平凡社)に記されている。

基本の体色(?)のフタホシタカノハハゼ(タイ・タオ島

 

焦げ茶色の斑紋があるタイプが基本のようなのだが、全身が黄色いタイプ(黄化個体)もけっこう多い。顔の周辺に水色の斑点はそのままのため、ギンガハゼと混同しやすい。しかも黄色タイプは頬の黒い斑紋が消えている場合が多いので、なおさら見分けにくい。識別点は、本種の腹ビレに縞模様があるがギンガハゼにはない。また、第一背ビレが本種は角ばっているのに対し、ギンガハゼは丸みがある。

黄色いタイプのフタホシタカノハハゼ(タイ・タオ島

 

これまで焦げ茶色の斑紋の基本の個体を見たのは23度で、大部分は黄色いタイプ。黄化個体で知られるヘラヤガラ、マルクチヒメジ、ギンガハゼなどは半々くらいの割合だが、本種は8割くらいが黄色タイプだ。一体どうしてなのだろう。

黄色いタイプのフタホシタカノハハゼ(奄美

 

東部インド洋のスミラン諸島では、中間タイプの個体がいた。これを見ると、同一個体が体色を自在に変えられる可能性がある。とすると、黄色でいたほうがメリットがあるに違いない。

中間の体色をしたフタホシタカノハハゼ(タイ・スミラン諸島)

 

本種が巣穴から姿を出している場合、すべて単独だった。おそらく繁殖期になるとペアになって産卵し、すぐに離れるということだろう。そうすると、黄色はパートナーを引きつける意味があるのかもしれない。今後の研究を待ちたい。

テッポウエビと暮らすフタホシタカノハハゼ(ラジャアンパット)

 

 

映画『あの日のオルガン』

3/4(月)墨田区曳舟文化センターに於いて映画「あの日のオルガン」の上映会が行われた。この映画は、太平洋戦争末期、東京から疎開先の埼玉県で53人の子供たちとともに「疎開保育園」で奮闘する保母たちの姿を描いたもので、実話を基に制作された。

上映会が開かれた曳舟文化センターの上映前の様子

 

疎開したのは品川区の戸越保育園と墨田区の愛育燐保館の二つ。映画は2019年に公開され、墨田区はモデルになった保育園が存在した関係で、墨田区上映会実行委員会を立ち上げ、墨田区共催で今回の上映会が実施された。

タイトル

 

ストーリーは、戸田恵梨香演じる保母主任・板倉楓と、大原櫻子演じる保母・野々宮光枝を中心に、疎開先でのさまざまな難題に立ち向かう。子供たちの前でオルガンを奏でて共に歌う光枝の姿に戦争を忘れる一瞬があったり、東京大空襲で子供たちの家族や両親が亡くなったりする。そうした現状に、疎開は正しかったのか、と楓は自問自答する。

あの日のオルガンのチラシ

 

やがて終戦を迎え、孤児となった子はいるものの、53名の幼い命を守ったということで保母たちは安堵する。俳優陣の熱演に、胸が熱くなるシーンがたびたびあった。特に、ちょっと不器用な光枝だが、子供たちの心をつかむのが上手で、みっちゃん先生と子供たちから慕われ、一緒になって唄ったり遊ぶなどのみずみずしい演技に、拍手を送りたい。ただ、タイトルにもなったオルガンのエピソードが、足りなかったように思う。

監督・脚本 平松恵美子

保育園があった東京は空襲で焼けた(チラシより)

 

東京マラソン2024

33日(日)東京マラソン 2024が開催された。近くの蔵前橋通りがコースになっている関係上、交通規制のチラシが配られるので何となく知っているが、さほど関心がなかった、昨年までは…。

東京マラソン2024のポスターとコース

 

今年は知人Nさんが出場すると年賀状に書かれていたので、沿道で応援すると連絡した。とはいえ、いつ通るのかがわからない。そこでいろいろ考えた。

その前に、東京マラソンについて認識不足だったようで、一般市民ランナーの祭典というイメージが強かった。仮装ランナーの報道を見たからだろう。しかし、今回はパリ五輪代表選考会も兼ね、世界のトップランナーが多く出場し、テレビ中継もあると知った。

910 都庁前をスタートした瞬間(日本テレビより)

 

スタート地点から蔵前橋までは20キロだ。Nさんは過去にも出場してるので、20キロは2時間半くらいとのこと。さらに浅草の折り返し地点で合図をしてもらうことにした。ただランナーはとても多く、特定のランナーを見つけ出すのは困難と判断したので、目立つ色のジャケットを着て公園入口で待ち、気づいたら手を振ってもらうことにした。テレビではケニアの選手が1位と2位で、2名とも2時間2分台と報じていた。それから30分後合図があったので沿道へ出た。ランナーのすごい数に驚いた。報道によると出場者は38000人だそうだ。外国人の姿も目についた。

蔵前橋通りの復路を走る大勢のランナー

 

12時ごろ、ついにNさんが現れて手を振ってくれた。ほぼ予定どおりだ。ここから清澄通りに入り、門前仲町富岡八幡宮で折り返し、再び蔵前橋通りに来る。往復約6キロ半なので、40分くらいだろう。

往路から気づいて手を振るNさん

 

13時少し前、Nさんが復路を走ってきて手を振ってくれた。ハイタッチをして、ゴールまで頑張ってと声援を送った。今回、Nさんを含む大勢のランナーの力走を目の当たりにし、みなぎるパワーをチャージすることができた。ありがとう、そしてお疲れさま!

頑張ったNさん

 

 

 



 

アデウツボについて

ウツボ科のアデウツボは全長約100cmになり、相模湾以南の西部太平洋、インド洋に分布している。あまり出会えないが、図鑑によれば100m前後の深いところに生息しているとのこと。日本に分布していることがわかったのは、80年代中ごろだった。口の中が鮮やかな黄色なのが最大の特徴。最初に出会ったのは奄美で、1999年のことだった。

最初に出会ったアデウツボ99年、奄美

 

口の中が黄色いことにも驚いたが、体全体が紫がかってきれいなので、それらを併せて和名が付けられたのだと思う。次に出会ったのは10年後で、柏島だった。撮影した水深は覚えていないが、20m前後だったような気がする。

柏島での初アデウツボ09年、柏島

 

水温が低い時期に奄美で潜っているとき、アデウツボを見つけた。水深は24mだった。このときはいろいろなアングルで撮ることができた。あえて口を閉じたところも狙った。

口を閉じたアデウツボ11年、奄美

 

本種は警戒心も縄張り意識も強いほうではない。したがって撮影しやすい。やはり鮮やかな黄色を見せてくれたときが、最も惹かれる姿だ。

魅力的なアデウツボ11年、奄美

 

2015年に柏島へ行ったとき、アデウツボがユリウツボと一緒にいると聞き、連れて行ってもらった。撮れはしたものの、前日は2種がもっと近寄っていたという。まぁ、それは運なのでしかたがないが、深いところに生息するウツボに、奄美柏島2度ずつ会えたことはラッキーとしか言いようがない。

アデウツボとユリウツボ15年、柏島