大方洋二の魚って不思議!

写真を通して魚類の生態や海について考える

学名が変わった魚(3)

ベラ科オグロベラ属のオグロベラは、1904年に新種記載された。学名はPseudojuloides  cerasinus (Snyder.1904)


オグロベラのオス(奄美

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日本では1980年ごろ、沖縄の瀬底島で生息が確認されて日本初記録に。そして和名が付いた。











今回新種になった                                                                  

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オグロベラの分布は 伊豆半島以南の太平洋およびインド洋ということになっていた。しかし最近の研究で、日本に分布するオグロベラは別種ということが判明した。つまり、P. cerasinus ではなく新種であるため、新たな学名P.spiendens が付いたというわけだ。



 




ガレ場を行動するオスとメス(座間味)
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オグロベラのメスはオレンジ色あるいは濃いピンク色で、腹部は黄色味を帯びている。オス、メスともにガレ場を行動域にしていて、メスがオスの後を追うことがよくある。










ハワイのオグロベラが載っていた図鑑より                                                              

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海外ではオグロベラに出会った覚えがない。そこで手持ちの図鑑で調べてみた。『日本の海水魚』(山と渓谷社)、『Micronesian Reef Fishes』(Coral Graphics)、『HAWAIIS FISHES』(MUTUAL PUBLISHING)の3冊で、どれもハワイで撮影したオグロベラが載っていた。







オグロベラのオスとメス(奄美
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ハワイのものと日本のものを比べても、体色の多少の違いはあるものの、大きな違いは見当たらない。一体どこが違うのだろうか。我々ダイバーは魚を識別したり誰かに伝える場合に和名を使っているので、学名が変わってもそれほど影響はないが…。とはいえ、知らぬ間に変わっていたらやっぱり困る。あぁ、分類は難しい。