大方洋二の魚って不思議!

写真を通して魚類の生態や海について考える

突然新種に!

昔から慣れ親しんでいた魚が、突然新種になることもある。その理由は、日本初記録種が海外の既存種と同じとしたが、後に詳しく調べたら別種(新種)だったというケースだ。ということで、ここ10年間に新種となった馴染みの魚は…
ゴンズイの新種記載は1787年。日本初記録(年月は不明)のときに新種記載された基準となる標本と同じと判断され、長年信じて疑わなかった。ところが、2003年に精査したところゴンズイが2種に分かれ、それまでの種はミナミゴンズイとし、ゴンズイは新種になった。
ゴンズイ奄美

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オドリハゼの新種記載は1960年。本種の第一背ビレに目玉模様があるが、その模様が少し異なるものもいることが知られていた。8年前に精査したところ、新種記載の基準の標本は紅海周辺に分布する種で、日本のものとは別種であることが判明。その結果、日本のものは2012年に新種記載された。ちなみに紅海産の背ビレの目玉模様ははっきりしている。
オドリハゼ(石垣島

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キホシスズメダイは、1960年に日本の学者によって新種記載された。しかし、詳しいことはわからないが、改めて2013年に新種記載された。理由は二つ考えられる。①すでに使用されている学名だった。こうした場合は古いほうが優先され、新たに付ける必要がある。②当時に新種記載された基準になる標本は、既存種(変異のスズメダイなど)だった。いずれにしても、研究が進んだことで改められたことだ。

改めて新種になったキホシスズメダイ奄美

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オグロベラは1960年に新種記載された。日本初記録は70年代後半と思われ、基準の標本と同じと考えられていた。ところが最近の研究で基準となる標本は、日本には分布しない種であることが判明し、2017年に新種記載された。
オグロベラ。下がオスで上がメス(奄美

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ホタテツノハゼは1973年に和歌山県田辺湾から採集された。新属・新種ということはわかったが、和名のみが付けられて1975年発刊の『魚類図鑑 南日本の沿岸魚』(東海大学出版会)に掲載された。未記載種のまま46年間過ぎ、2019年突然新種記載された。
やっと世界的に認められたホタテツノハゼ(奄美

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