大方洋二の魚って不思議!

写真を通して魚類の生態や海について考える

トラウツボの分布について

トラウツボの体色・斑紋は独特で、和風という感じがするので出会うと必ず写真を撮る。図鑑には、トラウツボの分布は南日本(沖縄島以南を除く)、インド・太平洋と書かれている。


トラウツボ(三宅島)

イメージ 1

新種記載されたのは1843年(文献によっては1847年)で、なんと江戸時代。英名はドラゴン・モーレィという。新種記載の際の標本はどこのものかは不明。










特徴的な顔をしたトラウツボ(三宅島)
イメージ 2

これまで撮影したトラウツボを見ると、伊豆半島と伊豆諸島で撮ったものしかない。奄美や沖縄では出会ってないし、海外でももちろんない。










海外の書籍に掲載のトラウツボ
イメージ 3

そこで持っている海外の図鑑や写真集を調べてみた。デビット・デビュレの写真集(左上)とロジャー・スティーンの写真集(右上)、ルディー・クーターの魚類図鑑(下の二つ)などに載ってはいたものの、撮影地は左上が伊豆半島、右上が三宅島、下の二つはJapanとなっていて、いずれも日本だった。







ノコギリヨウジがクリーニング(富戸)

イメージ 4

トラウツボは目の近くの後鼻孔に長い管があり、それが角のように見える。他のウツボ類にはない特徴なので、すぐに本種とわかる。











ソリハシコモンエビがクリーニング(富戸)
イメージ 5

不思議なことに、海外で撮影されたトラウツボの写真を見たことがない。果たして本当に海外に分布しているのか疑問になる。まぁ英名が付いているくらいなのだから、いることはいるのだろう。しかし、かなり稀種なのかもしれない。