大方洋二の魚って不思議!

写真を通して魚類の生態や海について考える

ハマクマノミの幼魚について

先日座間味で、ハマクマノミを入れた風景写真を撮った。タマイタダキイソギンチャクに成魚が1尾だけかと思ったら、全長約2cmの幼魚もいたのだ。


ハマクマノミ(座間味)

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この写真では成魚の右、体長とほぼ同じ距離にいるのがわかるだろうか。白枠内が同一個体。












白帯3本の幼魚(石垣)
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ハマクマノミの幼魚期には白帯が23本ある。成長に伴って後ろから消え、成魚になると顔のところに1本だけ残る。小さなイソギンチャクに単独でいる幼魚は、白帯が3本ないし2本の場合がほとんど。成魚がいるイソギンチャクに住む幼魚は、小さいながらも白帯は1本のことが多い。







白帯は後ろから消える(座間味)
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その理由としては、単独の場合は繁殖相手がいないので成熟を遅らせ、体を大きくするのにエネルギーを回す。したがって、幼魚期の斑紋が遅くまで残る、ということらしい。










真ん中の白帯が消えかかった幼魚(奄美

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一方、成魚がいるイソギンチャクにたどり着いた幼魚は、繁殖相手になる可能性があるので、幼魚の特徴である白帯が速いスピードで消える。しかし、オスやメスが健在なら成長を制御されるため、白帯は1本ながら全長は23cm止まりの場合が多い。








白帯2本の幼魚とメス(奄美
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稀に成魚がいるイソギンチャクに白帯が2本の幼魚を見ることがある。おそらくイソギンチャクに入って間もないため、白帯が消えなかったのだろう。ハマクマノミは、オスとメスの大きさにかなり差がある。研究者がオスの大きさと成熟度の関係を調べた結果、全長4cm以下は未成熟で、オスとしての機能があるのは5cm以上だったらしい。