大方洋二の魚って不思議!

写真を通して魚類の生態や海について考える

ホホスジタルミのこと

別種とよく似ているため、混同されていた魚は少なくない。ホホスジタルミもそんな魚のひとつ。マダラタルミと混同されていて、『日本産魚類大図鑑』(東海大学出版会 '84年刊)には載っていなかった。


ホホスジタルミの成魚(ラジャアンパット)
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ホホスジタルミは1931年に新種記載されている。にもかかわらず、日本ではずっとマダラタルミと思われていて、日本初記録になって和名が付けられたのは確か90年代初めごろ。実際成魚では区別するのは難しい。








全長約5cmのホホスジタルミの幼魚(座間味)
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幼魚は白と黒の特徴的な模様で、ヤギ類やイソバナ類のそばにいることが多い。幼魚期もマダラタルミと似ているが、本種は各ヒレが長く、特に腹ビレが異常なほど長いので区別がつく。









全長約8cmの幼魚(デラワン)
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少し成長すると行動範囲が広まり、ヤギ類から離れて泳いでいる姿が見られる。











ホホスジタルミの群れ(コモド諸島)
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日本では成魚の生息数が少ないうえに警戒心が強いからか、あまり見かけない。海外では近くで見ることができたり、群れも観察できる。










不思議な行動(ラジャアンパット)
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ホホスジタルミは不思議な行動を取ることがある。口を下に向けて大きく開き、水を吸い込んでは出すようなしぐさをすること。何度も見ているが近づくと終わってしまい、なかなか写真が撮れなかった。ちょっと遠かったが、ようやく撮れた。どんな意味があるのだろうか。