ブダイ類が大好きというダイバーに会ったことがない。カメラを持つ多くのダイバーが好きなのは、2~3cmと小さくて動かないものか、1mを超える大物の両極端。したがって、20~30cmのブダイ類は中途半端なサイズなのだろう。
数種のブダイ類が混泳することも
好まれない理由はまだある。動きが速いことと、成長や性転換の過程で体色・斑紋が変化するため、名前が特定しにくいこと。確かに判別が難しいものも多いが、それだけ興味深い生態が埋もれているともいえる。
ハゲブダイのメス型。2タイプある
サンゴ礁域では最も多いハゲブダイのメス型といわれるものでも、斑紋が異なるタイプがいる。尾柄部に大きな黒斑があるタイプと、黒斑がない代わりに白い点が散在しているタイプだ。
ハゲブダイの二次オス
どうして「メス型」というのか。それはメスからオスに性転換した際、外見はメスのままのタイプと、オスの体色・斑紋に変わるタイプの2タイプいるからだ。前者を一次オス、後者を二次オスという。つまり、外見はメスのようでもオスの場合があるため「メス型」といういい方になっている。
ブダイ類のはみ跡
以前はブダイ科として独立していたが、現在はベラ科に含まれている。それはともかく、ブダイ類は藻食性で、主に死サンゴや岩の表面に付着している藻類を基盤ごとかじりとって食べている。
産卵前にはフンをまき散らす
未消化の死サンゴなどはフンとしてまき散らされて海底に積もり、白いサンゴ砂の一部になっている。フンをするのは排泄以外にも重要な意味がある。一つは縄張りの主張で、もう一つはメスに産卵を促すこと。産卵前には必ずフンをするので、性フェロモンが分泌されているのだろう。