大方洋二の魚って不思議!

写真を通して魚類の生態や海について考える

ブダイに光を!(最終回)

オオモンハゲブダイのオスは独特の体色・斑紋をしているため、一目でそれとわかる。一方メスは、最近までわかっていなかった。


オオモンハゲブダイのオス                                          
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その証拠に'97年発刊した山と渓谷社の『日本の海水魚』にはオスしか載っていない。版を重ねての最終刷は'05年だが、その時点でも載っていなかったので、わかったのは67年前なのだろう。








産卵を終えたばかりのメス                                            
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'02年に奄美でオオモンハゲブダイの産卵を初めて観察できたが、近寄るのが間に合わず撮影できなかった。しかし、産卵直後海底に戻って来るメスを撮ることができた。性転換の途中のような体色・斑紋だった。









オスとメス型らしき個体
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このような体色・斑紋の個体は見たことがないので、バリエーションが多いと判断。
あるときオスのそばにメスらしき個体がいた。










バリエーション豊富なメス型
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その後も奄美や慶良間で産卵を何度か観察し、徐々にメス型が明らかになってきた。確かにバリエーションが豊富で、体色もよく変えることがわかった。このような特徴があるため、メス型の発見が遅れたのだろう。
上の2枚の写真は同一個体で、数秒で変化した。

 





寄り添って産卵上昇するペア                                         
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オオモンハゲブダイの産卵には、ペア産卵とグループ産卵がある。後者はメス型だけが集まって行うことが多い。ペア産卵はオスが激しく泳ぎ回り、中層で体を震わすようにメスたちにアピールする。呼応したメスが上昇して寄り添い、急上昇して放卵・放精する。