大方洋二の魚って不思議!

写真を通して魚類の生態や海について考える

魚類の生態用語(その7)「性転換」

性転換する陸上動物はほとんど知られていないが、海の魚では珍しくない。ベラ類、ブダイ類、ハナダイ類、ヤッコ類、クマノミ類などが有名。


卵を産むセジロクマノミもかつてはオス                                                               
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性転換するにはある条件が必要で、オスがハレムを持つタイプの場合、オスがいなくなったときに最も優位なメスがオスに変わる。クマノミ類は逆で、メスがいなくなったときにオスがメスに変わり、最も大きな幼魚が急速に成熟してオスになる。








クギベラ。白枠内はメスとオス
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性転換する魚類の大半は、1尾のオスが複数のメスを支配するハレムをつくる。クギベラも同じだが、行動域が広いためにオスが元気でもひそかに性転換するメスがいる。









性転換途中と思われるクギベラ
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体色・斑紋がオスとメスの中間のオグロベラを伊豆大島で発見。けっこう珍しい。











スミレナガハナダイ
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スミレナガハナダイもオスとメスの中間の個体をよく見かける。本種の場合は、ライバルオスがいないと中間の体色・斑紋のままでオスの役割を果たしていることがある。
実際にはどの種も繁殖を確認したり、解剖しないと本当の性はわからない。したがって我々ダイバーは外見で判断するしかない。






 性転換中のヤイトヤッコ                                                             
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ヤイトヤッコは奄美で長期間観察したことがある。オスが1尾でメスが23尾の小さなハレムだったが、1尾のメスがオスに変わり始めた。その後外見的にはオスになったが、メスが少ないために繁殖は無理と理解したようで、またメスに戻った。