大方洋二の魚って不思議!

写真を通して魚類の生態や海について考える

魚類の生態用語(その6)「ハイブリッド」

交雑種、雑種のこと。陸上の動物ではあまり見られないが、海の魚では比較的多い。陸上動物のほとんどは体内受精なのに対し、海水魚体外受精が大半。こうしたこともハイブリッドが生じやすい要因だろう。



オウギチョウとハクテンカタギ
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とはいえ、より近縁でなければハイブリッドはできない。多く見られるのはチョウチョウウオ類とヤッコ類。分布の中心から離れて単独でいるケースが多いようだ。ハイブリッドは、両親の特徴が半々に現れる傾向があるという。








両親はカガミとアミメ
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カガミチョウとアミメチョウのハイブリッドもよく見られる。また、この両種がペアになっているケースも奄美では比較的多い。

アミメチョウの代わりに、ベニオチョウの場合もあるようだ。








チョウハンとツキチョウ
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この個体を見たとき、両親はチョウハンとチョウチョウウオかと思った。後日この写真をハワイの魚類学者にお見せする機会があり、チョウハンとツキチョウチョウウオのハイブリッドとのこと。








コガネヤッコとナメラヤッコ

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ヤッコ類(キンチャクダイ類)では、コガネヤッコとナメラヤッコのハイブリッドが圧倒的に多い。コガネヤッコは南太平洋が分布の中心で、そこからはずれると繁殖相手が著しく少なくなるからだろう。









タカノハダイとミギマキ
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'01八丈島で変なタカノハダイを見つけた。縞模様はタカノハダイなのだが、色合いが少し違う。また尾ビレには水玉模様がなく、ミギマキのそれにそっくり。両種の特徴が出ているので、ハイブリッドだと直感した。その後、「伊豆海洋公園通信」で、この個体が取り上げられ、ハイブリッドであることが証明された。