大方洋二の魚って不思議!

写真を通して魚類の生態や海について考える

ナルトビエイとは?

先日、契約しているフィルムライブラリーから連絡があった。某出版社から魚の写真の依頼があり、探して欲しいとのこと。リストには「ナルトビエイ」という名もあった。聞いた覚えはあるが…『日本の海水魚』(山と渓谷社)には載っていない。


2種類の図鑑                                         
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『日本産魚類大図鑑』(東海大学出版会)にもない。家にある図鑑を調べたら、海遊館が出版した『黒潮の魚』と愛媛県愛南町が出版した『えひめ愛南お魚図鑑』に載っていた。どちらも制作に携わった知人から贈られた図鑑だった。








2冊の図鑑に載っていた標本写真
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ただし掲載されていたのは定置網で捕獲された個体で、標本写真だった。トビエイとそっくりだが、ナルトビエイの吻(口の部分)は尖っているようだ。上が『黒潮の魚』の掲載写真。













エサに夢中のナルトビエイ
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名前に覚えがあったのは、6年前柏島に行った際にエイを撮影し、調べたことがあったからだった。そのときは突然エイがやって来て、砂底でエサを食べ始めた。接近できるとは思わなかったが、ゆっくり近づいてみた。








まだエサに夢中
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すると意外にも接近できてしまった。でも口の形がわからないので図鑑写真としては使えない。そこで、もう少し引いて口が見えるものも撮っていて、その写真を貸し出した。生きているナルトビエイの写真がないということは、ダイバーはあまり出会えないということだろうか。今回のことで、トビエイの学名(種小名)が和名と同じ「tobijei」ということを知ったのだった(ラテン語は「j」を「y」に置き換えて発音する)。